2002年 4月14日 | 3P 形式の伝票 | >> 目次 (テーマごと) |
● QUESTION | 3P 形式の伝票は、どう扱えばよいか。 | |
▼ ANSWER | 基本的には、サブセット として扱う。 | |
2007年 5月16日 補遺 |
以下の 3つの扱いができる。
(1) サブセット として扱う。 3P 形式の伝票というのは、3枚の伝票が上重ねになっていて、一番上にある伝票の中身を記入すれば、下にある伝票に複写される形式のことをいう。下にある伝票の扱いは、以下の 2つに類別される。
(1) 「控え」の伝票として扱う。 (1) を EDP が対象とするなら、(原帳票と同じ中身なので) 「控え」 が存在することを示す flag を用意すればよい。その flag は VE として扱うことになる。 論点になるのは (2) である。たとえば、一番上にある伝票を受注伝票として使い、下にある伝票を出荷伝票や請求書として使うことがある。 「技術的には」 作図のやりかたは 1つしか (one and only) ない。「技術的には」 サブセット として扱う-- null が起こるので サブセット 扱いにする--のが正しい。 しかし、組織のなかで、受注伝票だけが使われて、(受注伝票の identifier を複写した) 出荷伝票や請求書が備考扱いになっているのであれば、それらを VE として扱うことになる。
また、「同じ identifier (受注番号)」 を使っているが、複写された受注番号は、それぞれ、出荷番号や請求書番号として 「認知」 されていれば--形式的には 「受注番号」 ではあるが、実質的には、「受注番号」 が多義になって使われていれば--、それぞれ、単独の entity として扱うのが正しい。 [ 前提 ] 受注と出荷と請求は、それぞれ、「1-対-1」 の関係にある、とする。
受注 {受注番号、顧客番号 (R)、品目番号 (R)、受注日、受注数} [ E ] さて、出荷のなかで、出荷番号と受注番号 (R) は同じであるし、請求のなかで、請求番号と受注番号 (R) は同じである。つまり、出荷と請求のなかの受注番号 (R) は蛇足になる。そのために、以上の作図をした後に、受注番号 (R) を以下のようにして取消線を上書きする。
受注 {受注番号、顧客番号 (R)、品目番号 (R)、受注日、受注数} [ E ] そして、「受注番号」 の アトリビュート・リスト のなかには-- baseline (前提) のなかには--、受注番号が出荷番号や請求書番号として使われていることを明記しておかなければならない。 以上のように単独の entity として扱う例は、ほかにも、(製造業で使われている) 「製番」 が典型的な例である。 |
[ 補遺 ] (2007年 5月16日)
TMD (TM Diagram、T字形 ER図) は、論理的意味論の観点に立って、以下の 2つの手順で作成されます。
(1) tentative modeling (構文論に従った作成) 3P 形式の伝票は、形式上、同一の 「認知番号」 を使うので、構文論上、サブセット として扱いますが、「認知番号」 の解釈次第では、意味論上、それぞれ違う entity として扱われるかもしれない。3P 形式の伝票は、「構文論と意味論」 の ズレ が典型的に現れる事態です。類例として、「製番 (製造番号)」 があります。同一の「製番」 が、ひとつの事業過程のなかで、受注で付番されて以後、製造でも出荷でも継承して使われるという現象です。 たとえ、「構文論」 のみを対象にして構造を考えたとしても、「意味論」 を考えざるを得ない理由は、妥当な構造には、いくつかの 「解釈」 が成立するからです (数学上、その点は 「レーウ゛ァンハイム・スコーレム の定理」 として証明されています)。 数学上、単純な例として引用されるのは、「Pappos の定理」 および その双対定理です。その定理を単純に言い切ってしまえば、射影幾何の体系では、「点」 と 「直線」 の意味を入れ替えて解釈しても、違いが生じない。興味のある人は、数学の文献を読んでみて下さい。
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