2002年 6月30日 階の関係、包摂関係、先行関係 >> 目次 (テーマ ごと)
  ● QUESTION   営業所区分 コード と特約店種別 コード は、サブセット として、どちらが上位になるのか。
  ▼ ANSWER   どちらか (たぶん、特約店種別 コード) を VE として扱えばよい。
2007年 8月 1日 補遺  



  やっかいな論点です。というのは、階の関係 (種別 コード) と包摂関係 (区分 コード) が混成になっているから。以下の例題を使いましょう。

 (1) 営業所 コード を認知番号 (identifier) にして、営業所 entity が成立している。
 (2) 営業所 entity には、以下の 2つの コード が帰属している。
   (2)-1 営業所区分 コード
   (2)-2 特約店種別 コード
 (3) 営業所区分 コード には以下の 2つの値を附与されている。
   (3)-1 1 = 国内営業所
   (3)-2 2 = 海外営業所
 (4) 国内営業所には、特約店種別が記述されている (海外営業所には、特約店種別はない)。
 (5) 特約店種別 コード には以下の 2つの値が附与されている。
   (5)-1 1 = 支所 (支店)
   (5)-2 2 = 特約店 (支配力基準から判断して、支所と同じ扱いをしている特約店)

 国内営業所と海外営業所は、営業所に対して 「包摂関係」 にある。つまり、国内営業所と海外営業所は営業所の サブセット である。しかし、国内営業所が 「支所」 であるか 「特約店」 であるか、という性質は、営業所の内的特徴 (同じ性質のなかでの区分) ではなくて、営業所とは べつの観点から付与される外的特徴 (異なる性質の上下関係) である。したがって、階の関係のなかで成立する性質である。

 したがって、営業所区分 コード は サブセット として記述できるが、特約店種別 コード は サブセット として扱うことができない。営業所区分 コード と特約店種別 コード は、1つの サブセット 体系のなかで記述できないので、以下のように、特約店種別 コード を 「みなし entity (VE)」 として扱うのが正しい。

 [ 例-1 ]

  営業所: {営業所 コート゛、営業所名称、...}. [ R ]
        |
        = 営業所区分 コード
        |
        ├国内営業所
        |
        └海外営業所

  営業所. 特約店種別: {営業所 コード (R)、特約店種別 コード、...}. [ VE ]

 しかし、もし、以下の点が成立するのなら、特約店種別 コード を 「VE」 として扱うことはできない。

 (1) 支所あるいは特約店は、営業所として一括される。
 (2) 支所は、国内営業所と海外営業所に区分される。

 すなわち、特約店種別 コード が営業所区分 コード の上位階にある。とすれば、クラス 概念 (ここでは、「型 (タイプ)」 として、異なる性質の上下関係) と セット 概念 (同じ性質のなかの区分) が混成になってしまう。ただ、ひとつの言語 ゲーム (事業過程) のなかで、たとえ、クラス 概念と セット 概念が混成になっていても、「支所と特約店の分類」 のほうが 「国内営業所と海外営業所の区分」 よりも重視されていて、営業所の構造を記述しなければならないのなら、重要度を判断して、以下のような 「構造」 を作らざるを得ない。

 [ 例-2 ]

  営業所: {営業所 コード、営業所名称、...}. [ R ]
        |
        × 特約店種別 コード
        |
        ├特約店
        |
        └支所
          |
          = 営業所区分 コード
          |
          ├国内営業所
          |
          └海外営業所

 以上の考えかた--「分類 (類似の 「型」 を一括すること)」 と 「区分 (1つの セット を分割・細分すること)」 は、「重要度」 を判断して構造を作る、という考えかた--を拡張すれば、[ 例-1 ] を以下のように記述することも「容認できる」。

 [ 例-3 ]

  営業所: {営業所 コート゛、営業所名称、...}. [ R ]
        |
        = 営業所区分 コード
        |
        ├海外営業所
        |
        └国内営業所
          |
          × 特約店種別 コード
          |
          ├支所
          |
          └特約店

 とすれば、「上下関係の階層のなかで」、[ 例-2 ] は、支所かそうでないか、という点が重視され、[ 例-3 ] は、国内か海外か、という点が重視されている、というふうに判断しても間違いはない。
 ちなみに、「種別 コード」 は、「多義」 のなかで先行関係を記述する コード として使われることも思い出してほしい



[ 補遺 ] (2007年 8月 1日)

 [ 例-2 ] で、もし、支店および特約店に対して、それぞれ、個体指示子 (認知番号) が付与されていれば、それぞれの 「型 (タイプ)」 を、「概念的 スーパーセット」 として括ることは妥当でしょうね。

             ┌─────────────────┐
             │                 │
             │       営業所       │
             │                 │
             └────────┬────────┘
                      |
                      × 概念的 スーパーセット
                      ↓
          ┌───────────┴───────────┐
          |                       |
 ┌────────┴────────┐     ┌────────┴────────┐
 │       支 店       │     │       特約店       │
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │支店コード   │        │     │特約店コード  │        │
 │        │        │     │        │        │
 │        │        │     │         │        │
 └────────┼────────┘     └────────┴────────┘
          |
          = 支店区分コード
          |
          └───────────┐
                      |
                      |
          ┌───────────┴───────────┐
          |                       |
 ┌────────┴────────┐     ┌────────┴────────┐
 │       国内支店      │     │       海外支店      │
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │支店コード   │        │     │支店コード   │        │
 │        │        │     │        │        │
 │        │        │     │         │        │
 └────────┴────────┘     └────────┴────────┘

 
 ただ、この例で、論点になるのは、支店 コード と特約点 コード は、同じ コード 体系のなかで、営業所 コード として扱われているという点です。すなわち、1つの管理対象として、値が走る区域 (object domain) が、あらかじめ、限られています。したがって、その範囲 (集合) のなかで、分割と細分を考えなければならない。

 構文論としては、以下のような構造を考えることができます。

             ┌─────────────────┐
             │       営業所       │
             ├────────┬────────┤
             │営業所コード  │        │
             │        │        │
             │        │        │
             └────────┼────────┘
                      |
                      × 特約店種別コード
                      ↓
          ┌───────────┴───────────┐
          |                       |
 ┌────────┴────────┐     ┌────────┴────────┐
 │       支 店       │     │       特約店       │
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │営業所コード  │        │     │営業所コード  │        │
 │        │        │     │        │        │
 │        │        │     │         │        │
 └────────┼────────┘     └────────┴────────┘
          |
          = 営業所区分コード
          |
          └───────────┐
                      |
                      |
          ┌───────────┴───────────┐
          |                       |
 ┌────────┴────────┐     ┌────────┴────────┐
 │      国内営業所      │     │      海外営業所      │
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │営業所コード  │        │     │営業所コード  │        │
 │        │        │     │        │        │
 │        │        │     │         │        │
 └────────┴────────┘     └────────┴────────┘

 
 しかし、この 「階の構成」 は、構文論的に、以下のように、上下を入れ替えることができます。

             ┌─────────────────┐
             │       営業所       │
             ├────────┬────────┤
             │営業所コード  │        │
             │        │        │
             │        │        │
             └────────┼────────┘
                      |
                      × 営業所区分コード
                      ↓
          ┌───────────┴───────────┐
          |                       |
 ┌────────┴────────┐     ┌────────┴────────┐
 │      国内営業所      │     │      海外営業所      │
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │営業所コード  │        │     │営業所コード  │        │
 │        │        │     │        │        │
 │        │        │     │         │        │
 └────────┼────────┘     └────────┴────────┘
          |
          × 特約店種別コード
          |
          └───────────┐
                      |
                      |
          ┌───────────┴───────────┐
          |                       |
 ┌────────┴────────┐     ┌────────┴────────┐
 │       支 店       │     │       特約店       │
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │営業所コード  │        │     │営業所コード  │        │
 │        │        │     │        │        │
 │        │        │     │         │        │
 └────────┴────────┘     └────────┴────────┘

 
 階の上下を入れ替えても、「意味」 が通じます。したがって、「分割と細分」 という観点から判断すれば、意味論的に、2つの構造を作ることができるということです。意味論の観点 (現実事態との指示関係) から判断すれば、どちらかの構造が 「真」 ではないということです。
 意味論として、実体主義を導入すれば、「性質」 は、以下の 2点の観点で判断されます。

 (1) そのもの-の性質
 (2) に対する性質

 とすれば、国内営業所も海外営業所も、支店としての内的性質をそなえていますが、特約店は、そうではないので--支店に 「準ずる」 措置なので--、特約店種別 コード は、営業所のなかに帰属しないと判断するのが妥当でしょうね。




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