2004年 12月 1日 「3P 形式」 の DTL >> 目次 (テーマごと)
  ● QUESTION   「3P 形式」 の サブセット として、DTL のあいだに リレーションシップ を結ぶことはあるか。
  ▼ ANSWER   ある。
2009年12月16日 補遺  



[ 前提 ]

 (1) 「3P 形式」 (受注、出荷、請求) の伝票がある。

 (2) 受注、出荷、請求は、それぞれ、「HDR-DTL」 形式になっている。

 
[ 考えかた ]

 実際の データ を観ていないので、詳しい (正確な) コメント ができないのですが、「3P 形式」 では、以下のように考えてみてください。

 (1) 「3P」 のすべての サブセット (伝票) が、同じ枚数である。
    たとえば、受注 DTL と出荷 DTL と請求 DTL は、それぞれ、伝票枚数が同じである。
    つまり、「1:1」 関係の 「複写」 である、という現象です。

 (2) 「3P」 のすべての サブセット (伝票) は、違う枚数となる。
    たとえば、受注 DTL と出荷 DTL と請求 DTL は、それぞれ、伝票枚数が違う。

 
 (1) では、リレーションシップ を構成しなくても良いでしょう。
 (2) では、 リレーションシップ を構成しなければならないでしょう。(2) では、「複数:1 (対応表)」 と 「1:複数」 の関係を明示しなければならない。

 
 まず、DTL のあいだに成立する 「複数:1 (あるいは、複数:複数)」 の関係ですが、「上の伝票 (受注)」 から、そのまま、「下の伝票 (出荷、および請求)」 に対して、「1:1」 関係の 「複写」 ではなくて、受注 DTL を、いくつか、まとめて、出荷 DTL としたり、出荷 DTL を、いくつか、まとめて、請求 DTL とする、という現象です。

 次に、DTL のあいだに成立する 「1:複数」 の関係ですが、1つの受注 DTL が 「分割納入」 されて、いくつかの出荷 DTL になったり、1つの出荷 DTL が、「分割請求」 されて、いくつかの請求 DTL になる、という現象です。

 
 「複数:1 (あるいは、複数:複数)」 の関係 (対応表) は、以下のようになります。

    受注 DTL. 出荷 DTL. 対応表
   {受注番号 (R)、LINE 番号 (R)、受注番号 (R)、LINE 番号 (R)}.

 
  この構造は、「再帰」 に似た構造です。
  「3P 形式」 では、受注番号は同じ値でしょうが、「event」 は時系列に並びますので、最初の LINE 番号 (R) は、「先行 event (受注 DTL)」 を示し、次の LINE 番号 (R) は、「後続 event (出荷 DTL)」 を示しています。

 「1:複数」 の関係 (たとえば、分割納入) は、以下のようになります。

    出荷 DTL
   {受注番号、LINE 番号、受注番号 (R)、LINE 番号 (R)、・・・}.

    請求 DTL
   {受注番号、LINE 番号、受注番号 (R)、LINE 番号 (R)、・・・}.

 
  この構造も、「再帰」 に似た構造です。
  「3P 形式」 では、受注番号は同じ値でしょうが、出荷 DTL の LINE 番号 (R) は、「先行 event (受注)」 の DTL を示していますし、請求 DTL の LINE 番号 (R) は、「先行 event (出荷)」 の DTL を示します。

 
 以上の記述から判断できるように、「3P 形式」 のなかで、「HDR-DTL」 があれば、「再帰」 として扱えば良い、ということです。

 



[ 補遺 ] (2009年12月16日)

 本 エッセー に関して、取り立てて補遺はいらないでしょう。

 ただ、ことば (リレーションシップ と リレーション) の使いかたについて、若干、補足しておきます。
 私は、昨年頃から、リレーションシップ という語を極力使わないようにしています。そして、リレーションシップ の代わりに、リレーション を使うようにしています。

 TM の前身である T字形 ER手法を作ったときには、寧ろ逆に、リレーション という語を使わないで、リレーションシップ という語を使うようにしていました。というのは、当時、T字形 ER手法は、いまだ、数学的な検証 (無矛盾性・完全性) をやっていなかったので、「関係」 を 「関数」 として使うという前提を置いていなかったので。したがって、「関係」 を (「関数」 ではなくて、) どちらかといえば、日常言語風に使っていました。当時──2005年に 「赤本」 を出版した時点では──、「関係」 を 「対称性・非対称性」 の観点でしか考えていなかった。

 「赤本」 を出版したあとで、再度、構文論・意味論を検討してみて、「関係の対称性・非対称性」 を 「閉包・特徴関数・外点」 の観点から説明できることに気づいて、「いざない」 (2009年出版) で、「閉包・特徴関数・外点」 を説明して、「ツォルン の補題」 を強く意識するようになりました──すなわち、「全順序・半順序」 を強く意識するようになった、ということ。

 「全順序・半順序」 の観点で TM の文法を見直してみたら、TMD は、有向 グラフ を 「線と箱」 で描いていることが明らかになりました。したがって、TM の 「関係文法」[ R (a, b) ] は、明らかに、「関数」 を適用しています。そのために、リレーションシップ という語を止めて、リレーション という語を使うようになった、という次第です。つまり、関係 aRb ──すなわち、R (a, b) において、関係 R [ Relation ]──は、数学では、関数 f (x, y) として翻訳される、ということ。





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