2023年 9月15日 「3.1 モデルは現実的事態の写像...」 を読む >> 目次に もどる


 第 1章および第 2章では、モデル の要件と モデル 論の歴史を鳥瞰しました。モデル 作成技術を── TM のみ限らず、UML などの記法をふくめて──或る程度 すでに習得している DA (Data Analyst) は、これらの 2つの章を読めば、モデル の要件を了得できたでしょう。モデル の要件を納得できたのであれば、第 3章以降を読まないで、自らが使っている モデル 作成技術を モデル の要件を満たすように使い続ければいいでしょう。私は、TM にこだわっている訳ではない、モデル という モノ (内包) に こだわっているのです。ただ、その モデル を作成するために、第 3章以後の章では、「Tの字」 表記を ひとつの モデル 作成技術として示しているだけです──そして、その 「Tの字」 表記の モデル 作成技術を TM と呼んでいるだけです。第 3章以降の章では、モデル 作成技術として TM の技術を説明しています。

 さて、3.1 では、モデル の要件として、1.2 で述べた次の 2つの 「真」 を 再度 確認しています。

  (1) L-真 (導出的な真、構文論上の無矛盾性)

  (2) F-真 (事実的な真、意味論上の完全性)

 ここで注意してほしいのは、事業過程・管理過程を写像した 「形式的構造」 (モデル) は、「事業構造と 一致していなければならない」 という要件です。この要件は、数学的構造には もとめられていない要件です、事業分析・データ 設計のための モデル に求められる特有の要件です。この要件を満たすために、2.6 および 2.7 で述べた デイヴィドソン の 「T-文」 を TM では真理条件としています。この要件を満すならば、モデル は 1つしか存在しない。1つしか存在しないので、エンドユーザ、経営者、システム・エンジニア、プログラマ など)にとって、共有できる資料として機能します。つまり モデル は、個人の価値観に依存した作品ではなく、「事実」 を写像した マスター・プラン (基本設計) として機能するということです。そして、モデル には、事業の強み・弱みがそのまま現れていますし、事業構造が環境変化に呼応できているかどうかも現れています。モデル が モデル であるためには、作成上、次の 2つの点に注意してください。

  (1) ユーザ 言語を変形しない (実際の事業過程・管理過程で使用されている言語をそのまま使う)。

  (2) できるだけ機械的に [ 文法 (論理規則) に則って ] 作成する。 □

 




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