2023年11月15日 | 「3.5 モノの集まりを正しい集合(セット)として整える」 を読む | >> 目次に もどる |
「構造」 というのは、次の三つの関数を使って構成できます── (1) モノ の性質 f (x). (セット [ 集合 ] あるいはクラス) (2) モノとモノとの関係 R (a, b) (3) モノからモノをつくる関数 f (x, y) 実務的には、R (a, b) は f (x, y) と同じであると考えてよいので、モデル (形式的構造) をつくるには次の二つの関数を使えばよいということです── (1) f (x) (2) f (x, y)
f (x) は モノ を集める関数で、f (x, y) は モノ と モノ を並べる (関係を構成する) 関数です。 「関係」 が網羅されていれば、「構造」 は パーフェクト になります。すなわち、事業の文脈が完全に定立されます。言い替えれば、モノ の座標が定まります。したがって、文脈のなかで モノ の 「意味」 (meaning) が定まります。逆に言えば、モノ の 「意味」 というのは、文脈が定まらない限り わからない。 全体の 「構造」 が定まれば、その 「構造」 のなかに置かれた モノ の 「意味」 を確認することができる。モノ は個体指定子を使って認知されます──実務では、個体指定子として××番号とか××コードを使っています。この個体指定子が、「情報」 (原帳票など) では 一つの管理対象 (モノ の集まり) を現していて、モデル (形式的構造) では 「集合」 f (x) を現しています。一つの管理対象 (モノ の集まり) が 形式上 正しい集合 f (x) になっていればいいのですが、正しい集合 f (x) になっていない場合が多い。つまり、我々が直感的につくった モノ の集まりが 「集合」 f (x) になっていないことが多い。実務では、一つの管理対象について、さらに細かく管理するために 「××区分 コード」 を使っています。この 「区分 コード」 は、形式上 分割・細分を現していて、一つの集合 f (x) について部分集合の存在を示しています。すなわち、「区分 コード」 が定義されていれば、一つの集合は いくつかの部分集合に切断されることを示しています。 一つの集合 f (x) のなかの部分集合のあいだには、交わりはない──部分集合どうしは排他的 OR 関係です (AND 関係は生じない)。言い替えれば、部分集合の類別の仕方は一通りしかない (この点については、6.5 「セット と サブセット」 の証明を参照してください、本書 159ページ)。 しかし、実務では、「区分 コード」 の値には、部分集合のあいだに AND 関係が生じていることが 多々 観られます──たとえば、「取引先」 の集合のなかに 「取引先区分 コード」 (請求先、支払先、納入先などの区分) が定義されていて、取引先 a は、請求先かつ支払先である、というような事例が 多々 観られます。もし 「取引先区分 コード」 が五つの値 (分割細分) を定義していて、それらの定義のあいだに AND が生じるなら、25 の場合分け (すなわち、if...then、IF-nested) が起こります。これは、セット と サブセット の構造として妥当ではない。もし モノ の集まりが集合 f (x) として妥当ではないのなら、それを放っておけば その負荷を プログラム が負うことになる。データ で ケリ がつくことは データ で回収すべきでしょう (形式的な不良品を回収すべきでしょう)。本節では、「区分 コード」 の検証が妥当な構造を構成するには不可欠であることを指摘しています。 □ |
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