(1) 連結損益計算書を作成するための基本原則は、以下の 3つである。
(1)-1 個別財務諸表の金額を基礎とする。
(1)-2 子会社の当期利益のなかから少数株主持分を控除する。
(1)-3 取引高(棚卸資産、配当金、地代・家賃、利息・手数料など)を相殺消去する。
(1)-4 未実現損益を消去する。
(2) 連結損益計算書の表示は、個別損益計算書の表示と形式では同じだが、以下の点に特徴がある。
(2)-1 少数株主損益は、税金等調整当期純利益の後に、法人税額等の次に記載する。
(2)-2 連結調整勘定の償却の表示は、以下とする。
- 資産の部に計上された連結調整勘定の償却は、販売費及び一般管理費とする。
- 負債の部に計上された連結調整勘定の償却は、営業外損益とする。
(2)-3 持分法による投資損益は、営業外収益 (または、営業外費用) として、一括して表示する。
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P 社は S 社に商品Aを 100個 販売した。 |
商品原価 @500円 |
販売単価 @600円 |
期末に S 社には商品 A が 40個在庫になっていた。 |
P 社の仕訳 |
S 社の仕訳 |
(借) 売上 |
60,000 |
(貸) 商品 |
60,000 |
(借) 商品 |
60,000 |
(貸) 仕入 |
60,000 |
連結 P/L |
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P |
S |
相殺 |
連結 |
売 上 |
100,000 |
70,000 |
60,000 |
110,000 |
売上原価 |
80,000 |
50,000 |
60,000 |
70,000 |
一般管理費 |
5,000 |
10,000 |
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15,000 |
営業利益 |
15,000 |
10,000 |
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25,000 |
法人税 |
6,000 |
4,000 |
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10,000 |
当期純利益 |
9,000 |
6,000 |
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15,000 |
[ 補遺 ] (2007年 2月16日)
連結損益計算書では、主要概念として、以下の諸点を覚えておけばよい。
(1)連結対象会社のあいだの損益を相殺する (未実現損益を消去する)。
(2)子会社の当期利益のなかから少数株主持分を控除する。
主要概念に関する重要細目・具体例 は、都度、専門書を調べればよい。
なお、「連結調整勘定」 とは、連結会社の投資と それに対応する連結子会社の資本の相殺消去の結果生じた差額である (連結財務諸表規則第 2条第 9号、商法施行規則第 2条第 1項第 30号、連結財務諸表原則第四 三 2)。
連結調整勘定は、借方・貸方のどちらにも生じる可能性がある。借方の連結調整勘定は、「のれん」 であって、子会社の超過収益力の対価である。貸方の連結調整勘定 (負の 「のれん」) は、子会社の資産を時価未満の価額で取得したり、子会社の負債を時価超の価額で引受した場合などに発生する。
以上のように、借方の連結調整勘定と貸方の連結調整勘定では、発生原因が異なり、償却期間及び償却方法も異なってくるため、会計処理上、これらを相殺してはならないとされている (連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針 22)。
連結調整勘定は、その効果の発現する期間にわたって償却して、投資の実態を適切に反映させる必要があるため、借方と貸方それぞれの連結調整勘定について、子会社の実態に基づいた適切な償却期間 (原則として計上後 20年以内) において定額法又はその他合理的な方法で償却しなければならない。
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