[ 補遺 ] (2007年 4月16日)
経営過程は、以下の 3つの過程として考えられる。
(1) 事業過程
(2) 管理過程
(3) 組織過程
管理過程は、事業過程に対応して、以下の 5つで構成される。
(1) 購買管理
(2) 生産管理
(3) 販売管理
(4) 労務管理
(5) 財務管理
経営は、事業を効果的・効率的に実施するための管理手法をいうのだから、これらの管理過程を いかに構成するかという点が経営の論点になる。
ポパー (Popper, K. 哲学者)は、以下の 3つの 「世界 (の関係)」 を示した。
(1) 第一世界としての物理的世界 (物的状態の世界)
(2) 第二世界としての心的世界 (心的状態の世界)
(3) 第三世界としての 「知性が把握しうる世界」 (客観的意味の世界)
この 3つの世界に経営過程を当てはめてみれば、以下のように考えられる。
(1) 物理的世界 (物的状態の世界) [ 事業過程 ]
(2) 心的世界 (心的状態の世界) [ 経営 ]
(3) 知性が把握しうる世界 (客観的意味の世界) [ 管理過程 ]
「第三世界」 は、それ自体、自律性があることを、ポパー 氏は示した。「第三世界」 は、人間が作った産物であるが、それは、翻って逆に、それ自体の自律性を生み出す。自律性は、絶対的ではない。新しい (潜在的な) 問題点は、新しい構成を導いて、新しい対象が、「第三世界」 に加わる。そして、このような進化的歩みは、ポパー 氏のことばを引用すれば、「新しい意図しなかった事実、新しい予期しなかった問題を、そして、また、しばしば、新しい反証を生み出す」。
ポパー 氏は、理論 (あるいは、知識) の進化として、以下の図式を示した。
P1 → TT → EE → P2
P1は、思考対象となった問題点である。P1からはじまって、TT という 「暫定的な ソリューション (あるいは、理論)」 に進む。TT は、部分的あるいは全体的に、間違った理論かもしれない。そして、EE という 「誤り排除」--すなわち、実験的 テスト や験証や反証--の篩 (ふるい) にかけられる。「第三世界」 の自律性、および、「第三世界」 の (第一世界・第二世界に対する)feedback--「誤り排除」 の制御--は、知識の進歩には、a must な作用である。
管理過程は、つねに、事業過程との相互作用のなかで、有効性を検証されなければならない。というのは、管理過程では、自律性のなかで、「管理のための管理」 という事態に陥ることがある。そして、「管理のための管理」 に陥った経営は、「現実」 から乖離して、制度が形骸化し、環境適用力を喪い、企業を弱体化してしまう。