「財務過程」 そのものは、購買過程・生産過程・販売過程の それぞれのなかに組み込まれる過程であるが、資本 (経済的情報) を対象としているので、単独の管理過程として扱われる。
1. 資本収支過程
財務過程は資金調達と資金運用を対応する資金収支過程である。
財務過程は、資金収支過程として、以下の 3つの キャッシュ・フロー を把握しなければならない。
(1) 事業活動に起因する キャッシュ・フロー
(2) 投資活動に起因する キャッシュ・フロー
(3) 財務活動に起因する キャッシュ・フロー
[ 参考 ]
これらの キャッシュ・フロー については、Advanced Learner's 財務会計論 「キャッシュフロー 会計」 を参照されたい。
なお、事業に供する資産 (設備など) は長期設備投資 (資本支出) によって形成されるが、現代の財務管理では、これを資本予算管理 (capital budgeting) として扱っている。
財務能率性の観点からすれば、財務過程の基本原理は 「株主の富の極大化」 である。
財務有効性の観点からすれば、「利益」 は経営の基本的な資金源泉である。
2. 一株当たりの利益
投資家志向的観点 (investor-oriented)では、「利益」 は報酬 (配当金) の基礎である。
株価は企業の経済価値に対する (あるいは、株主の投下資本に対する) マーケット の評価である。
株価収益率は、以下のように計算される。
株価収益率 = 株価 ÷ 一株当たりの利益
一株当たりの利益 (EPS、Earning Per Share) には以下の 3つがある。
(1) 基本一株当たり利益 (Basic Earning Per Share)
(2) 部分希薄化一株当たり利益 (Primary Earning Per Share)
(3) 完全希薄化一株当たり利益 (Fully Diluted Earning Per Share)
希薄化とは 「潜在株式」 を計算のなかに加味することをいう。「潜在株式」 とは転換社債・ワラント・転換優先株式・ストックオプション などの 「普通株式相当証券」 のことをいう。部分希薄化された一株当たり利益の計算は非常にむずかしいので、計算式については専門書を参照されたい。