コーポレート・ガバナンス とは、経営執行をだれがどのようにして監視するか、という論点である。
● 日本では、商法上、監査役制度がある。
日本の トップマネジメント の職能は、前回、記述した。
日本では、商法上、監査役制度がある (米国型統治形態には、監査役制度ない)。
日本では、取締役制度と重役制度が混ざっていて--監査役会・取締役会・常務会の構成になっていることが多いが--、取締役が 「出世 コース」 の最終点のようになっている。大企業であれば、取締役の人数が 30人ほどに及ぶことが多い。取締役のなかで、代表権をもつ取締役のことを代表取締役と呼ぶが、代表取締役は複数になることもある (たとえば、代表取締役社長や代表取締役専務など)。
● 欧米では、外部取締役が取締役の過半数を占め、委員会が設置されている。
欧米の コーポレート・ガバナンス には、以下の特徴がある。
(1) 取締役会の人数は 10人前後である。
(2) 取締役会の半数 (または、過半数) は、外部取締役が占めている。
(3) 外部取締役を委員長とする様々な委員会が設置されている。
たとえば、監査委員会、取締役候補指名委員会、役員報酬委員会など。
(4) 取締役 (管理職能) と執行役員 (執行職能) が区別されている。
米国型統治では、CEO (Chief Executive Officer) とか COO (Chief Operating Officer)という呼称が使われ--取締役会・委員会・CEO・執行役員という構成になっているが--、会長が CEO になって、社長が COO であることが多い。CEO は最高経営責任者であり、COO は執行役員である。
● 日本の改正商法では、委員会等設置企業が認められた。
日本では、商法改正 (2002年 5月22日) のなかで、外部取締役が取締役会の半数以上であれば、監査役を設置しなくてもよいとされ、米国型企業統治の選択的導入が認められた。外部取締役が委員会を設置する企業形態のことを 「委員会等設置企業」 という。
ちなみに、監査役は、1993年の法改正で制度化されていた。
● 決算書が正しいことを保証する責任は経営者にある。
公認会計士による外部監査の対象となっている企業は、「経営者の確認書」 という文書を公認会計士に提出することになっている。決算書の責任は経営者にあり、監査対象となる文書を提出したことを確認する文書である。したがって、決算書が正しいことを保証する責任は経営者にある。言い換えれば、会計情報を判断できないということは、経営者の弱点になる。