(1) 経営管理は、「共同作業の統率」 を目的としている。
「共同作業の統率」 は、仕事の組織として、「経済的合理性」 の追求にある。
「最大の効果を最小の費消で実現する」 という 「合理性」 原理を前提にして、仕事が組織される。
(2) 仕事を組織する やりかた として、以下の 3つの手法が、歴史上、転換点となった。
(2)-1 テイラー (Tayler, F.W.) が導入した科学的管理法
(2)-2 フォード (Ford, H.) が導入した移動組立法
(2)-3 ファヨール (Fayol, H.) が提示した 5つの管理概念
(3) テイラーは、成り行き管理に対して、科学的管理法を導入した。
すなわち、「標準」という理念を確立して、経営管理機能を専門化した。
(4) フォード は、生産の標準化を徹底して移動組立法 (ベルト・コンベヤー 式) を導入した。
(4)-1 第一次大戦後、大量生産体制を実現するために、労働能率の向上が論点になった。
(4)-2 フォード は、テイラー の 「標準」 理念を生産工程全体に拡大適用して、以下を実現した。
● 単一製品の原則
● 部品の規格化・互換性
● 設備の標準化
● 作業者の工程順配置
● 運搬方式の合理化
● 作業時間の規則化
(5) ファヨール は、「管理」 を、以下の 5つに類別して、経営管理を原理的・統合的に解析した。
● 予測
● 組織
● 命令
● 調整
● 統制
(6) いっぽうでは、(フォード が達成した 「合理性」 とは、べつの流れがあって、)
「ホーソン 実験」 の データ を使って、「人間関係論」 が提示されるようになった。
(6)-1 「人間の組織」 が考慮されるようになった。
(6)-2 メイヨー (Mayo, E.) や レスリスバーガー (Roethlisberger, F.J.)。
(7) やがて、「仕事と人間」 の組織論 (行動科学的組織論) が形成されるようなった。
(7)-1 組織と環境との相関関係が研究対象となった。
(7)-2 組織は、環境と相互作用を形成する 「オープン・システム」 として考えられるようになった。
(7)-3 環境との関連のなかで経営を解析しようとするようになって、「意思決定論」 が形成された。
(8) マーチ=サイモン (March, J.G. と Simon H.A.) が意思決定論の基礎理論を最初に提示した。
ふたりは、「管理人 モデル」 と 「満足規準の原理」 を提示した。
(8)-1 「管理人 モデル」 とは、経済学のいう 「経済人 モデル」 に対する アンチ・テーゼ である。
(8)-2 人は、「合理的判断」 の 「最適規準」 を前提にした意思決定をしないことを示した。
(8)-3 人の判断は、「完全に合理的」 であることはできないので、現状で 「満足できる」 判断で
あるとみなす (「満足規準」)。
(8)-4 この考えかたは、以後、アンソフ (Ansoff, H.I.) の経営戦略論のなかに継承された。