1. 流通経路政策は 「マーケティング・チャネル」 政策とも呼ばれている。
マーケティング・チャネル を支配して マーケティング の主導権を取るために、以下の 3つの やりかた
がある。
(1) 垂直的統合
(1)-1 上方向垂直統合 (50%以上の出資、機関 [ 卸し本部 ] の設立)
(1)-2 下方向垂直統合 (直営の小売店舗の設立)
(2) 系列化
(3) 集合活動
(3)-1 企業間結合 (合併、株式保有、役員兼任、融資)
(3)-2 企業間協定 (カルテル、合弁事業、提携)
(3)-3 企業間共謀 (談合、黙約)
2. 流通機能は、以下の 3つに類別される。
(1) 商的流通機能 (取引機能、俗に 「商流」 と呼ばれる。代理店構成など。)
(2) 物的流通機能 (俗に 「物流」 と呼ばれる。)
(3) 助成流通機能 (「商流」 と 「物流」 を円滑にする金融機能や危険負担機能)
3. 物流は、「完成品を生産 ライン の終了点から消費者まで有効に移転することに関する幅広い諸活動で
ある。そして、原材料の供給源から生産 ライン の開始点まで移転することを包含することもある。」
(Bowersox, D.J.,Smyka, E.W. and Lalonde, B.J., "Physical Distribution Management, 1968.)
物的流通は輸送・保管・荷役・梱包から構成される。
4. マーケティング・チャネル と物的流通は表裏一体の関係にある。
調達物流と販売物流を統一的に管理する概念が 「ロジスティックス」 (Losistics) である。
この用語は、1960年代以後、一般に使われている。
5. 日本の流通機構は以下のような特徴がある。
(1) 卸売機構が多段階構造になっていて、迂回性が強い。
(2) 系列販売制度が多い。
(3) 卸売機構は多数の零細流通業者から構成されている。
(4) 大規模小売店舗法 (「大店法」)、小売商業調整特別措置法、中小小売商業振興法などの
行政介入がある。日米包括経済協議では、日本の流通機構が批判された。
平成12年、大規模小売店舗法が廃止され、大規模小売店舗立地法が施行された。
6. 卸売機構と小売機構の実態については、
(1) 経済産業省 (旧、通商産業省) が刊行している 「商業統計表」 を参照されたい。
(2) 「商業統計表」 によれば、小売商店数は、時代とともに大幅に減少している。
(3) 4人以下の零細店の構成比が顕著に減少している。
7. 小売業の 「3 大技術革新」 とは、以下の 3点をいう。
(1) ワンストップ・ショッピング
(2) セルフ・サービス
(3) チェーン・オペレーション
8. 多店舗化 (チェーン) は、以下の 3つの形態がある。
(1) レギュラー・チェーン (RC) [ 自己店舗群 ]
(2) フランチャイズ・チェーン (FC) [ フランチャイザー と加盟店の構成 ]
(3) ボランタリー・チェーン (VC) [ 独自性の留保と共同化の メリット ]
9. 小売業は、生産段階を包括した流通 システム の機能を再編成している。
この再編成 (組織化、流通統合化) を可能にしたのが以下の情報化である。
(1) POS (Point of Sales)
(2) EOS (Electronic Order-entry System)
10. 消費者の購買を起点にして、小売店から入手された販売情報を使い、流通 チャネル の全体効率化 を
実現しようとする概念が、以下の 2つの概念である。
(1) ECR (Efficient Consumer Response)
(2) QR (Quick Response)
11. ECR や QR の発展形として、CPFR という概念が提示されている。
(Collaborative Planning, Forecasting, and Replenishment)
12. サプライヤー (製造・卸売・小売) が一体になって情報を共有し管理することを狙いにした概念が SCM
である。(Supply Chain Management)
13. マーケティング 管理の限界として、コトラー は、(販売管理費を例にしながら) 8つの原因を例示して
いる。そのなかから、顕著な原因を以下に列挙する。
(1) 非線形効果 (2つの変数の間には比例関係はない)
(2) 閾 (しきい) 値効果 (最小必要限──閾値──の投資をしないかぎり効果はない)
(3) 繰越効果 (効果は次期移行に繰り越される傾向がある)
(4) 相互作用効果
[ コトラー, P., 伊波和雄 他訳, 「マーケティング・マネジメント (下)」, 鹿島出版界, 1967年 ]