1. 生産管理の ツール
「管理」 の目的は、
工場の情報体系 (情報 システム) を整備・運用して、製造を合理的におこなえるようにすることにある。
生産管理では以下のような様々な ツール が用いられているが、本稿では、MRP を概説する。(注 1)
(1) MRP
(2) コンピュータ・ネットワーク
(3) データベース 管理 システム
(4) エキスパート・システム
(5) シミュレーション・ツール
2. 生産原理
生産原理は以下のように変化してきた。
(1) [ 1970年代 ] 大量生産・大量消費 [ プロダクトアウト・マーケットイン ](注 2)
(2) [ 1990年代 ] 多様化・短納期化 [ マーケットアウト・プロダクトイン ]
3. 「生産・在庫」 管理の歴史
(1) MRP の アルゴリズム は 1970 年代に完成している。
「閉鎖 システム (closed loop)」 として生産管理 (MRP) の体系は完成していた。
(2) 1980年代以後、最新の コンピュータ 技術を導入して、生産管理は統合化される傾向が強くなった。
- データベース 管理 システム の導入 (1980年代)── RDB が導入された。
- LAN の導入 (1990年代)── CIM が導入された。(注 3)
(3) 1990年代半ば以後、「ネットワーク 組織」 のなかで、多段階在庫が論点になった。(注 4)
SCM を狙って(注 5)、付加価値の付与と多段階在庫の削減が関心事となっている。
(注 1)
MRP は、以下の略語である。
(1) Material Requirements Planning (資材所要量計画)
(2) Manufacturing Resource Planning (製造資源計画)
まぎらわしいので、ふつう、(2) として、MRP U という言いかたが使われる。
MRP と MRP U のちがいは、後日、述べる。
(注 2)
単純に言い切ってしまえば、「プロダクトアウト・マーケットイン」 は、製造志向型の 「製造した物を セールス する」 形態をいい、「マーケットアウト・プロダクトイン」 は、マーケット 志向型の 「消費者が望んでいる物を作る」 形態をいう。
(注 3)
Computer-Integrated Manufacturing.
(注 4)
製造では、製造用の在庫があり、物流 センター や卸店では、流通用の在庫があり、小売店では、販売用の在庫がある。
従来、拠点ごとに、在庫の削減を考えていたが、複数の拠点を対象にして、全体の在庫削減を考えるのが、「多段階在庫」 問題である。
(注 5)
Supply-Chain Management (製・卸・販の一体化). 付加価値を作る 「価値連鎖」 のなかで、生産・流通・販売の効率化を目的としている。