1. ロット・サイズ
ロット・サイズ は、「在庫 コスト」 に対して、「発注 コスト (段取り コスト)」 の トレード・オフ として定式化できる。すなわち、「コスト の和」 の最小化問題として、定式化できる。
定式化には、以下の 2つがある。
(1) 需要が一定であることを前提して、無限期間の平均 コスト 最小問題
(計算された ロット・サイズ を、EOQ [ economic order quantity、経済発注量 ] という。)
(2) 離散的な需要に基づいて、有限期間の トータル・コスト 最小問題
(計算された ロット・サイズ を、DOQ [ dynamic order quantity] という。)
2. 在庫 コスト
在庫 コスト は、保管 コストとも呼ばれる。
在庫 コスト として、倉庫維持費用 (減価償却費、賃貸料、人件費など) や減耗費、保険、税金などが算入される。在庫 コスト は、機会損失として考える。
(1) h = vr
(1)-1 h (円/個・期) は、或る製品 1個を 1期だけ在庫として保管したときの コスト
(1)-2 v (円/個) は、その製品の価値 (価格)
(1)-3 r (円/円/期) は、1円の価値の物を 1期だけ保管したときの保管費率
(2) r の見積もりは、概算として、金利が使われる。期を年とすれば、数%から 10%である。
3. 段取り コスト と 発注 コスト
(1) 生産なら、一回の段取りあたりの生産 コスト をいう。
(2) 購買・調達なら、一回の発注あたりの購入 コスト をいう。
(3) 1つの ロット に対する生産 コスト・購入 コスト のことであり、そのなかの固定費をいう。
4. EOQ と DOQ
EOQ は、期あたりの在庫 コスト と発注 (段取り) コスト の和を最小にする ロットサイズ である。
DOQ では、WW 法と呼ばれる ワグナー・ウィティン (Wagner and Whitin) が提示した最適解法が知られている。ただ、WW 法の計算手順は、簡単ではないので、以下のような簡便法が、いくつか提案されている。
(1) 定期発注量法
(2) 最低発注単価法
(3) 最低 トータルコスト 法
定期発注量法は、期あたりの平均需要量を用いて EOQ をもとめ、それを平均需要量で割った期間数を固定期間とした ロット を編成するやりかたである。
最低発注単価法は、それぞれの期の段取り コスト と在庫 コスト の計を、その数量で割った単価を計算して、それが上昇する手前の期までを ロット として構成する。
最低 トータルコスト 法とは、在庫 コスト が段取り コスト を超える手前の期までを ロット として構成する。
最低 トータルコスト 法に対して、段取り コスト を超えない直前と、超える直後を比べて、追加的な在庫 コスト の小さいほうを選ぶ手続きを PPB (パート・ピリオド・バランシング) という。
参考として、 ロット 計算 を読まれたい。