1. プライオリティ (priority) と キャパシティ (capacity)
(1) 管理機能
管理機能には、以下の 3つがある。
- 経営計画 (経営活動の前) [ before-action planning ]
- 経営統制 (経営活動の過程) [ during-action review ]
- 経営批判 (経営活動の後) [ after-action analysis ]
(2) 生産・在庫の管理
正しい生産・在庫管理は、次の 4つの基本機能を実現している。
- プライオリティ を計画する。 [ planning priorities ]
- キャパシティ を計画する。 [ planning capacities ]
- プライオリティ を コントロールする。 [ controlling priorities ]
- キャパシティ を コントロールする。 [ controlling capacities ]
(3) 計画機能
計画は コントロール に先行する。 [ Plan the work, work the plan. ]
- 「どんな資材が、いつ必要か」 がわからなければ、「どんな能力が必要か」 を判断できない。
- プライオリティ 計画は 「日程作成」 のことをいい、その情報は、常に、最新情報でなければならない。
2. 前提と構造
(1) マスター・スケジュール と部品表
マスター・スケジュール と部品表を使って、部品の所要量 (必要な数量、requirements) を計算できる。
マスター・スケジュール は、(レベル 0 の──最上位 レベルの──) 組立品に対する計画である。
(2) 計画 オーダー と オープン・オーダー
或る レベル の部品の計画 オーダー の リリース 量は、直下の レベル の部品の所要量になる。
- リリース された計画 オーダー のことを、オープン・オーダー ともいう。
- 「オープン・オーダー」 は、リリース された瞬間、(理論的には、) 「過去」 の オーダー になる。
「過去の」 オーダー は、変更できないはずであるが、( 現実には、) 変更の対象となる。
所要量や利用可能な在庫量が変更されれば、計画 オーダー は再計算される。
リリース された オーダー が変更されることもあり得る。
(再 スケジュール ができないと判断されたら、) マスター・スケジュール を変更しなければならない。
(3) ペギング (pegged requirements)
ペギング とは、或る部品に対する所要量が、どの高次 レベル の品目から派生しているのかを知ることをいう。
(4) MRP と安全在庫
MRP では、安全在庫 (safety stock) は以下のように扱われる。
- マスター・スケジュール に対してのみ [ 最小限の ] 安全在庫を用意する。
- サービス 用の部品には安全在庫を計画してもよい。
同じ部品を、組立用にも サービス 用にも使っていれば、プライオリティ が崩される危険性がある。
サービス 品に対しても、組立品と同じように、計画量を見積もらなければならない。
(5) MRP の対象期間
MRP の対象期間 (期間の範囲) は1年である。
- 対象期間は、1週間ずつの時間域に タイムフェイズ されていなければならない。
- 少なくとも 1週間に一度は再計算されなければならない。
(6) MRP の構造
MRP は以下の構造である。
- マスター・スケジュール を調べる。
- 部品構成表を調べて、必要な部品を知る。
- 在庫記録を調べて、部品の有無を知る [ 欠品が、あらかじめ、判断できる ]。
- 部品の在庫がなければ、オーダー を指示する。
- 部品が発注済みであれば、納期を調べて、納期を変更するかどうかを知る。
(7) マスター・スケジュール、部品表および在庫記録
部品表は正確でなければならない。
プライオリティ 計画の対象となる部品には、すべて、部品番号が付与されていなければならない。
在庫記録は正確でなければならない。
マスター・スケジュール は現実を反映していなければならない (overstate されてはいけない。)
(8) フォーマル・システム と インフォーマル・システム
もし、「形式上の計画」 と 「現実性のある計画」 の 2つが存在すれば──フォーマルなシステム が 「形式上の計画」 としてしか作成しないとすれば、「現実性のある計画」 として インフォーマル・システム が蔓延して──、フォーマル・システム は役に立たない状態に陥る。