2005年 9月 1日 作成 工程管理 (作業 スケジュール) >> 目次 (テーマ ごと)
2009年12月 1日 補遺  

 

 
━■ 基礎概念 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(1) 作業 スケジュール
(2) バックワード・スケジュール (backward scheduling)
(3) 外乱

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
1. ショップフロア・コントロール (SFC、Shop Floor Control) とは、

 ショップフロア (生産現場) が、生産計画どおりに、生産を実施するように、
 生産活動の進捗を管理する (計画を フィードバック する)。

 (1) 製造 オーダー を、計画どおりに完了させるための活動である。
 (2) 詳細に計画された生産能力を、実施に確保する。

 
2. 「外乱」 に対応しなければならない。「外乱」 とは、

 (1) 機械故障
 (2) 材料の到着おくれ
 (3) 作業者の不意の欠勤
 (4) 作業時間の見積もり外れ

  など

 
3. SFC は、以下の手順に従って、実施される。

 (1) オーダー を開始する。
 (2) 資源を割り当てる。
 (3) 進捗を管理する (データ を収集して、監視する--計画と実績を対比する)。
 (4) 計画を修正する。
 (5) オーダー を完了する。

 
4. 作業を実際に指示する前に、以下の点を確認して調整する。

 (1) それぞれの ショップ (ワークセンター) に対する作業負荷 (ワークロード)
 (2) それぞれの ショップ に対する 「リリース・オーダー と製造 スケジュール」

 
5. 作業指示

 SFC は、(MS の情報を使って、) 作業指示を作成する。

 (1) それぞれの作業の 「開始日と完了日」 (期限) を指示する (backward scheduling)。
 (2) 作業の 「優先順位」 を指示する。
 (3) 作業負荷を確認する (overload や underload を改善する)。

 
6. バックワード・スケジュール (backward scheduling)

 Q = Queue Time   R = Run Time  M = Move Time

      |           作業-1         |            作業-2     |
      |  Q        R         M  | Q    R     M    |
   △ ̄ ̄ ̄△ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄△ ̄ ̄ ̄ ̄△ ̄ ̄ ̄△ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄△ ̄ ̄ ̄ ̄△(納期)
   ↑   作業開始    作業期限          作業開始    作業期限     ↑
 オーダー開始                                                 オーダー終了

 
7. 作業 スケジュール

 (1) 順次完了型 (end-to-end) 作業
 (2) 一部重複型 (overlapping) 作業
 (3) 同時進行型 (concurrent) 作業

┌───────────────────────────────────┐
│                                   │
│              作業スケジュール             │
│                                   │
├───────────┬───────────┬───────────┤
│           │           │           │
│   順次完了型   │   一部重複型   │   同時進行型   │
│           │           │           │
├───────────┼───────────┼───────────┤
│           │           │           │
│ ────      │ ─────     |  ────     │
│     ────  │    ─────  │  ───────  │
│           │           │           │
└───────────┴───────────┴───────────┘


[ 補遺 ] (2009年12月 1日)

 本 エッセー では、「工程管理」 のなかで、「作業 スケジュール」 について まとめています。「工程管理」 で使われる他の概念・技術──たとえば、ディスパッチ・リスト、インプット・アウトプット・コントロール、リード・タイム、ジョブ の優先度など──は、次回以降で説明します。

 「工程管理」 は、「製造計画 (MPS)」 を ショップフロア で実現するための活動です。すでに、資材の計画と生産力の計画が終わっているので、ショップフロア では製造計画どおりに作業を実施するのですが、作業を進めるうえで、ときに、想定していなかった事態──たとえば、マシーン の ダウン、資材の到着おくれ、作業員の不意の欠勤など──が起こる場合があります。これらの想定していなかった事態のことを 「外乱」 と云います。「工程管理」 では、「外乱」 が起こったときにも、「外乱」 に対応しつつ、できりかぎり、計画どおりに作業を進めるようにします。

 「工程管理」 では、ジョブ の優先度を決めて作業を指示し [ ジョブ の優先度、ディスパッチ・リスト ]、ジョブの進捗を管理します [ リード・タイム、インプット・アウトプット・コントロール ]。

 納期 (オーダー 終了日) を起点にして、作業を バックワード・スケジュール し オーダー 開始日を決めます。作業 スケジュール の形態には、「順次完了型」 「一部重複型」 および 「同時進行型」 があります。これらの 3つの形態は、基本的な作業 スケジュール として使われますが、ときに、(前回の 「生産力の計画」 で述べた) 「負荷調整」 において調整形態として使われることもあります──オーダー の性質にも依りますが、たとえば、「順次完了型」 を 「一部重複型」 に変えるとか。





  << もどる HOME すすむ >>
  生産管理