金融商品を評価するための 「公正な価額」 は、以下の 2つに類別できる。
(1) 市場価格
(2) 割引現価
割引現価 (あるいは、DCF--Discounted Cash Flow) は、計算構造の観点からすれば、複利計算の資本回収計数と同じである。複利とは、n 期間の利子は元本に対してのみ支払われるのではなくて、(n − 1) 期までの累計利子に対しても支払われる利率のことをいう。たとえば、元本を 100万円として、年利率を 10%とすれば、初年度末の元本と利子の総額は、110万円となる。
[ 1,000,000 + 1,000,000 × 0.1 = 1,100,000 ]
そして、次年度末には、元利 (元本と利子) は、121万円となる。
[ 1,100,000 + 1,100,000 × 0.1 = 1,210,000 ]
つまり、一括払複利計算は、以下の計算式になる。
n 期間後の元利合計 = 現在価値 × (1 + 利子率)n.
複利計算を説明するために、以下の略語を使う。
(1) i = 利率
(2) n = 年数
(3) P = 現在価値
(4) S = n 期間後の元利合計
(5) R = 毎期の元本合計 (一定額)
重立った複利計算を以下に示す。
(1) P から S を計算する (P ---> S) ことを 「一括払複利計数」 という。
(2) S から P を計算する (S ---> P) ことを 「一括払現価計数」 という。
(3) P から R を計算する (P ---> R) ことを 「資本回収計数」 という。
(4) R から P を計算する (R ---> P) ことを 「現価計数」 という。
(5) R から S を計算する (R ---> S) ことを 「複利計数」 という。
(6) S から R を計算する (S ---> R) ことを 「減債基金計数」 という。
以上の計算のなかで、DCF を計算するときに使う計数は (3) と (4) である。
なお、複利を計算するときには、「金利表」 (「利率-年数」 ごとの計数一覧表) を使えば便利である。
以下に簡単な例題(と金利表)を示す。
(1) 1,000万円を 5年間で回収するには、毎年、いくらずつ回収すればよいか。年利 10%とする。
(2) 今後 10年間、毎年、200万円ずつ得るためには、いくら積み立てておけばよいか。年利 6%とする。
まず、(1) は、現在価値 P (1,000万円) がわかっていて、毎年の元利合計 R を計算する問題である
(P ---> R)。利率 10%、期間 5年。つまり、R = 1,000 (P ---> R)105
そこで、以下の 「金利表」 を使って、計数を求める。