2002年12月 1日 作成 連結会計 (その 3) >> 目次に もどる
2007年 3月 1日 補遺  

 

 「連結」 の財務分析は、基本的には、「個別」 の財務分析と同じであるが、「連結」 と 「個別」 を比較すれば、「連結」 を構成している 「個別」 のそれぞれの貢献度を判断することができる。

 (1) 収益性を分析するためには以下の指標を使う。

   (1)-1 売上高利益率
   (1)-2 自己資本利益率
   (1)-3 純資産回転率

 
 (2) 安全性性を分析するためには以下の指標を使う。

   (2)-1 流動比率
   (2)-2 現預金比率
   (2)-3 自己資本比率

 
 (3) いわゆる「連単倍率」 は、「連結」 の数値を 「個別」 の数値で割った比率である
    以下のような比率を計算してみれば良い。

   (3)-1 「売上高」 の連単倍率
   (3)-2 「利益」 の連単倍率
   (3)-3 「総資産」 の連単倍率
   (3)-4 「純資産」 の連単倍率

 
 利益の連単倍率が 「1」 以下であれば、子会社が貢献していないことになる
 「連結」 は、親子間の取引高は相殺消去される。逆に言えば、連結された企業 グループ のなかで、どの企業が外部取引で利益を獲得しているか、という点がわかる。
 「セグメント 情報の開示基準」--会計諸則集を参照されたい--では、開示すべき セグメント 情報 (売上高および営業損益) として、事業の種類別情報・所在地別情報および海外売上高とされている。



[ 補遺 ] (2007年 3月 1日)

 「連単倍率」 には、本文のなかで示しましたように、いくつかの指標があるのですが、「連単倍率」 と云えば、ふつう、「利益」 のことを言及します。

 「利益」 の連単倍率が 1 未満のときには、連結子会社 (および、持分法適用会社) が グループ の業績に貢献していないか、あるいは、親会社の利益が連結 グループ のあいだの取引で獲得されているか のいずれかでしょう。さらに、0 (ゼロ) 未満という事態も起こりうるのですが、親会社が黒字でも、子会社の赤字が大きいこと--親会社の利益に比べて、子会社の赤字が大きいこと--を示しています。

 セグメント 情報を観れば、セグメント 間の内部売上高を知ることができます。
 セグメント 情報を観るときに注意しなければならない点は、「全体に対する配賦」 という点です。逆にいえば、セグメント に配賦できない (あるいは、配賦しなかった?) 「共通費用」 が どのくらい計上されているかという点を確認しなければならないでしょうね。この数値は、セグメント 情報のなかで 「全体あるいは消去」 という欄に計上されています。それぞれの セグメント の 「利益率」 のみを観るのは危険だということです。というのは、共通費用が多ければ多いほど、逆に言えば、それぞれの セグメント に対する費用配賦が少ないので、セグメント の 「利益率」 は高い数値を示します。したがって、セグメント の 「利益率」 を、他社の セグメント の 「利益率」 と単純に比較するのは、mislead になる危険性が高い。




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