● 組織は環境適応的・戦略的でなければならない。
(技術・経済・政治・文化などの) 環境の変化に迅速に対応できるように、組織は、職能別経営組織から事業部制組織や マトリックス 組織などの環境適応的・戦略的な組織へと形態を変化することになる。
職能部門別組織 (functional organization) とは、購買・製造・販売などの職能ごとに部門を編成する形態である。職能部門間の調整は、すべて、トップマネジメント に委ねられるために、集権的な性質となる。この組織形態は、単一製品の大量生産向きであるが、多角化した企業には向かないと云われている。
● 分権化された組織としては、以下の 3つの形態がある。
(1) 事業部制組織 (divisionalized organization)
(2) マトリックス 組織 (matrix organization)
(3) ネットワーク 組織
事業部制は、分権管理形態の 1つであり、それぞれの事業部が プロフィット・センター (利益責任単位) となる。集権組織形態の欠点を是正するために導入された (1920年、デュポン 社が初めて導入した)。
マトリックス 組織は、指揮命令系統が タテ 軸と ヨコ 軸からなる二元的指揮命令系統の組織をいう。職能別と事業部制を併用した形態である。つまり、タテ 軸の事業部制組織に対して、ヨコ 軸として職能別部門組織を横断して編成される (たとえば、第一事業部の製造・営業、第二事業部の製造・営業など)。
[ 参考 ]
事業部に対して独立企業に近い権限を与えた制度が 「カンパニー 制度 (division company system)」 である。
ソニー 社が 1994年に導入して注目された。
(1) 事業部 (カンパニー) は、社内資本をもち、本社に利益配当する。
(2) 事業部 (カンパニー) は、経理・人事・企画を独力でおこなう。
● 分権化は、トール な (tall) 構造を フラット な (flat) 構造に変える。
(1) トール な構造と フラット な構造は対概念である。
(2) トール な構造と フラット な構造のちがいは、監督の幅である。
a. 従業員数 < 管理者数 ---> 監督の幅が小さい (トール な構造)。
b. 従業員数 > 管理者数 ---> 監督の幅が大きい (フラット な構造)。
● ネットワーク 組織は職能別組織・事業部制組織・マトリックス 組織のそれぞれの強みを満たすことを狙っている。
職能部門別組織や事業部制組織や マトリックス 組織は、ヒエラルキー (階層) 構造である。
ヒエラルキー 構造の限界を打破しようとして導入された形態が ネットワーク 組織である。ネットワーク 組織は、職能部門別組織や事業部制組織や マトリックス 組織のそれぞれの強みをすべて満たすことを狙っている。
(1) 職能部門別組織の強みは、専門化・効率化にある。
(2) 事業部制組織の強みは、環境適応能力にある。
(3) マトリックス 組織の強みは、経営資源の効率的配分にある。
● 組織形態は、「自前主義」 から 「アウトソーシング」 へ移行している。
職能部門別組織・事業部制組織・マトリックス 組織は、「自前主義」 を前提にしているが、ネットワーク 組織は、(価値連鎖のなかにいる企業の資源や能力を利用する) 「アウトソーシング (outsourcing)」 を前提にしている。
● ネットワーク の形態には、以下の 3つがある。
(1) 内部型 ネットワーク (職能部門間、事業部間、SBU 間の相互関係)
(2) 安定型 ネットワーク (親企業と下請け企業の間の系列関係)
(3) 変動型 ネットワーク (独立企業間の相互対等な協調関係)
[ 参考 ]
「参加的組織」 という言いかたもあるが、事業部制組織や マトリックス 組織が環境適応能力を目的にしているとすれば、「参加型組織」 は、従業員の労働意欲の向上を目的とした組織形態である。
ちなみに、SBU とは、Strategic Business Unit の略称である。SBU については、後日、述べる。