2004年 8月16日 作成 企業の生産活動 >> 目次 (作成日順)
2008年11月16日 補遺  

 

 
1. 資本利益率

 企業が健全に経営されているかどうかをみる包括的尺度として、資本利益率が使われる。

 (1) 資本利益率 = 利益 ÷ 資本

 (2) 資本利益率 = 売上利益率 (利益÷売上高) × 資本回転率 (売上高 ÷ 資本)

 
2. 資本利益率の改善

 (1) 在庫を削減する
     運転資金を少なくして、売上高を増大すればよい。

 (2) 固定費を変動費化する
     損益分岐点を下げるために、固定費 (や直接労務費) を極力抑止すればよい。

 
3. 相反する目的の調整

 「生産・在庫」 の管理では、相反する以下の 3つの目的を調整しなければならない。
 (同時に実現しなければならない。)

 (1) サービス を向上する。

 (2) 在庫を削減する。

 (3) 工場稼働率を増大する。

 
4. 効率と ロット・サイズ

 (1) ロット・サイズ を大きくすれば、段取回数や発注 コスト が減少する。 [ ただし、在庫は増える。]

 (2) ロットサ・イズ を小さくすれば、在庫は減少する。 [ ただし、稼働費は増大する。]

 
5. 製造 コスト と稼働率

 (1) 製造 コスト は最低の稼働率を下回れば上昇する。

 (2) コスト と利益の関係は、工場の稼働率 (または、生産量) が多大に影響する。

 (3) 市場占有率が高ければ、経験曲線効果を得ることができる。(参考)

 (4) 工場の稼働率が一定であれば、生産計画や雇用計画を立案しやすい。

 
6. プライオリティ と キャパシティ

 生産・在庫の管理では、以下の 2点が大きな論点である。

 (1) プライオリティ (priority)

 (2) キャパシティ (capacity)

 
 プライオリティ は、以下の 2点を管理する。

 (1) なに (what material) [ どんな資材 ]

 (2) いつ (when)

 
 キャパシティ は、以下の 2点 (負荷) を管理する。

 (1) [ 人の   ] 作業時間

 (2) [ 機械の ] 稼働時間

 
7. スケジュール・システム

 (1) MRP は スケジュール・システム である。プライオリティ と キャパシティ を計画する システム である。

 (2) スケジュール には、「 タイムフェーズ」 手法が使われ、時間域に分割して計画が管理される。

 
(参考)  総累積生産量が 2倍になるごとに、コスト は 20%〜 30%ほど逓減する。





[ 補遺 ] (2008年11月16日)

 本 エッセー では、「生産・在庫」 活動が資本利益率に影響することを確認して、製造過程において、「製造計画 (『priority および capacity』 の計画) が MRP を スケジュール・システム として使うために中核の管理法である」 ことを まとめています。言い換えれば、MRP (Manufacturing Resource Planning) は、発注手法ではなくて 「計画手法」 である、ということです。MRP を語る際、昔から (1970年代から)、「Plan your work, work your plan」 という標語が言い伝えられてきました──この標語は、製造計画の役割を見事に言い表していますね。一言でいえば、「計画は実行に先行する」 ということであって、計画は、「工場の稼働率を高い水準で一定にしながら在庫を (基本的に、) 削減する」 という二律背反を調整する機能です──勿論、高品質の製品を作って、製造原価 (および、損益分岐点) を下げることも MRP の体系のなかに考慮されています。本 エッセー では、MRP の特徴点は、スケジュール・システム であるという点を確認しています。

 MRP の製造計画 (マスター・プラン) では、対象期間は 1年で、週単位に タイムフェーズ されます。その計画では、短期は納入計画として、中期は資材計画として、長期は能力計画として使われます。





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