━■ 基礎概念 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(1) 全部原価と増分原価
(2) 原価の積み上げ (roll-up)
(3) コスト・レート・テーブル
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1. 全部原価と増分原価
「増分原価」 とは、部品表の或る段階で、いくつかの品目を構成して親品目に変換する際に──すなわち、原価を積み上げる際に──発生する コスト である。たとえば、以下を例にして説明する。
レベル 1 部品 A
↑
| ← 労務費 30円 (増分原価)
|
レベル 2 部品 B (材料費 100円)、部品 C (材料費 50円)
部品 A を作るときに部品 B と部品 C を使うとすれば、材料費のみの原価積み上げでは、部品 A は 150円になる。そして、部品 B と部品 C を部品 A に変換する際に労務費が 30円 発生したとすれば、労務費 30円が 「増分原価」 である。「全部原価 (総 コスト)」 とは、部品表のすべての段階を通して累積された コスト で、「増分原価」 もふくまれている。この例では、部品 A の 「全部原価」 は、180円となる。
2. 原価の積み上げ (roll-up)
製造部品表あるいは設計部品表のいずれかを使って原価を積み上げることができる。
部品 レベル での原価算定方法には、以下の 3つがある。
(1) 個々の増分原価および全部原価 (総 コスト) を手作業で入力する。
(2) 増分原価は手作業で入力して、全部原価は原価積み上げのなかで計算する。
(3) 構成部品表・工順・材料費および レート を基礎にして、増分原価および全部原価の両方を
システム が計算する。
増分原価および全部原価を自動的に積み上げるには、以下の やりかた を使う。
(1) 部品表の全体を走査して、レベル ごとに、自動的に積み上げられる。
(2) 標準工順を走査して、作業ごとに、自動的に積み上げられる。
この やりかた を使うためには、材料費と外注費を部品 レベル で入力していなければならない。
3. レート の仕様 (rate specification)
(1) 段取り コスト
(2) 変動間接費
(3) 固定間接費費
(4) 外注費
(5) 資材間接費
(材料費および外注費のほかの) 5つの原価要素──労務費、段取り コスト、変動間接費、固定間接費と資材間接費──は、コスト・レート・テーブル のなかに定義されている レート を使って計算される。レート は、パーセント・時間・金額などの形式で記述するが、レート には コード を付与して、コード は テーブル から レート を抽出する際に使用され、部品・ワークセンター・標準工順ごとに設定される。間接材料費 コード は部品に対して保守され、直接労務費・段取り コスト・固定間接費および変動間接費は、標準工順および ワークセンター の レベル で保守される。
この テーブル を使えば、すべての レート が一ヶ所に集められているので、メンテナンス が容易になる。
購買資材と外注 コスト を除けば、すべての全部原価の要素および増分原価の要素を積み上げて計算することができる。
4. 原価積み上げの選択
原価積み上げの リクエスト には以下の オプション がある。
(1) 部品
(2) (部品表の) レベル
(3) 原価
部品 (あるいは、レベル) に関する選択は以下の2点である。
(1) すべての部品 (あるいは、レベル)
(2) 任意の部品 (あるいは、レベル)
複数の原価のなかから (原価積み上げのなかで) 使用する原価を選ばなければならない。
5. 最終原価の計算
複数の原価を使っているので、いずれかの原価を使って、最終原価を計算する。
(1) 標準原価(予算原価と当座標準原価)
(2) (シミュレーション 原価のなかから) ユーザ が選択した原価
6. 在庫評価と在庫再評価
指定された最終原価を使用して、手持ちの棚卸資産の評価をする。
標準原価の変更を反映した当座標準原価を使って、棚卸資産を再評価する。