━■ 基礎概念 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(1) 標準原価
(2) 原価差異
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1. 原価会計の目的
原価会計は、製造活動のなかで起こった会計的事象を測定・記録する。
以下の諸点を目的としている。
(1) 指図書を完了するために必要な原価を見積もる。
(2) 指図書の実際原価を追跡する。
(3) 標準原価との差異を分析する。
(4) 棚卸資産を報告する。
(5) 注文書を報告する。
(6) 財務会計 システム に仕訳を送る。
2. 標準原価と計画原価
計画原価表は新たに開設された指図書の全部原価を見積もるために、まいにち、作成される。
減損や スクラップ の見積原価もふくまれる。
以下の差異が計画原価表のなかで報告される。
(1) 設計仕様の差異
(2) 製造仕様の差異
(3) ロット・サイズ の差異
(4) 代替資材の差異
(5) 代替工順の差異
計画原価は、受注組立あるいは受注生産のなかで使われる原価概念である。というのは、このような製造の環境では、「標準」 原価という概念は成立しない。計画原価は、在庫を評価したり セールス 用の原価をきめたり実際原価との差異を効率的に分析したりする基礎となる。
3. 原価差異 (variances)
指図書を完了するために要した実際原価を算定する。
差異には以下の 3種類ある。
(1) 仕様差異 (設計仕様、製造使用など)
(2) 計画差異 (ロット・サイズ、代替資材、代替工順など)
(3) 実行差異 (労務費、段取費用など)
4. 期末報告
期末処理は、以下の 2つに類別される。
(1) 部品 レベル の報告
(2) 指図書 レベル の報告
5. 在庫の報告
棚卸資産高は以下の 2点を報告しなければならない。
(1) 期首および期末の残高
(2) 期中の増減
原価会計では、在庫に影響を及ぼす次の会計的事象が報告される。
(1) 受入 (receipts)
(2) 払出 (issues)
(3) 発送/出荷 (shipments)
(4) 移動 (moves)
(5) 調整 (adjustments) および標準原価の変更