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Some cannot see the wood for trees. |
財務会計の目的は、企業の活動を外部報告として開示することですが、経営を貸借対照表の形で観れば、貸方 (負債・資本) が「企業」を表し、借方 (資産) が「事業」を表しています。すなわち、資本を資産に転換して事業を営む、ということを表しています。言い換えれば、経営とは、貸方と借方を結ぶ作用です。
経営過程は、事業過程・管理過程・組織過程の3つから構成されます。
そして、管理機能に対応して、報告も、以下の3種類になります。 いわゆる基幹系のシステムと云われている情報システムは、おおかた、これらの報告をEDP化して、組織のなかで情報伝達が円滑 (効果的・効率的) に実現できることを目的としています。したがって、情報は、stock (一時点での情報)・ flow (状態推移に関する情報)・ rate (比率、たとえば、前年比とか) の3つの観点から作成され、事業の効果・効率を測量します。
組織過程では、「組織化の基本原理」として、以下の3つが考慮されています。この3点を実現した組織が、もっとも、合理的な構造となるようです。 組織は、合理性を追求すれば、理想型として、官僚制 (「職能」単位の階層組織) になります。そのために、組織は「職能ごとの部門制 (たとえば、製造部とか販売部とか)」を導入することが多い。 事業過程のなかで、生産過程は、企業のなかで実施されるので、統制可能です。しかし、企業はマーケットを統制することができない。企業は、マーケットに対して影響を与えるために、マーケットを要素化して系列化しようとします。しかし、マーケットは「流動的」です--変化します。したがって、組織は、環境と相互作用を形成するオープン・システムとして考えられ、環境との関連のなかで経営を考えなければならない。事業の価値は、事業のなかにあるのではなくて、事業の外 (マーケットのなか) にある。この考えかたが、「戦略」という考えかたです。すなわち、「戦略」は、経営計画の延長線上に考えられたのではなくて、環境適応として考えられたのです。経営戦略論が、経営計画論と違う点は、環境適応の観点を導入して、不確実な (予測しえない) 変数があることを前提にして、環境変数のなかで合理的である--一般的には、「制約された合理性」という言いかたがされていますが--ことを狙って、環境の変化に応じて、継続的に新たな判断をしなければならない、という点です。
「戦略的」という意味は、「問題志向的」であるのではなくて、「機会志向的」であることを特徴としています。(複数事業部制を前提にすれば、) 戦略には、以下の2つがあります。 環境変化に対応するために--戦略的であるために--、管理過程では、事前報告が大切にされ、組織過程では、事業部制組織やマトリックス組織が導入されました。しかし、職能部門制・事業部制・マトリックス組織は、「自前主義」を前提にしていますが、価値連鎖のなかにいる企業群の資源を利用するために「outsourcing」を前提にしたネットワーク組織が導入されるようになりました。
さて、以上の考えかたを理解して、経営学の入門書を読んでみてください。 システム・エンジニアが企業戦略に関与することは、まず、ないのですが、事業戦略は、コンピュータが最大に貢献できる領域です。
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