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Providing is preventing.

 
 モデルは--およそ、モデルというなら--、以下の規則を提示していなければならない。

 (1) 指示規則 (記述的定項--たとえば、個体と述語--を定義する)
 (2) 生成規則 (許された文の形式を定義する)
 (3) 真理性 (「真」を定義する。)
 (4) 範囲規則 (与えられた文が成立する状態記述--真・偽--の集合を
    定義する)

 
 システム作りでは、「科学的手法を使えば、『属人性』が排除される」と云われているが、「属人性」を排除するなら、以上の規則が提示されていなければならない。

 意味論と構文論を切り離すことがむずかしい理由は、データ集合 (entity) に対する指示規則を提示しなければならないからである。指示規則を作るやりかたには、以下の2つがある。

 (1) データ集合 (entity) そのものを定義する。
 (2) データ集合 (entity) そのものを定義しないで、
    データ集合を生成するアルゴリズムがあることを示す。

 以上のいずれかを提示しなければ、データ集合を作ることは「恣意的」になる。したがって、以上のいずれかを提示していない手法は、「属人性」を排除することができない。
 コッド関係モデルは、(2)を提示した。T字形ER手法は、(1)を提示した。

 T字形ER手法を、小生は、普段、以下のような体系として語っている。
 (1) データの認知
 (2) データの類別
 (3) データの関係
 (4) データの周延
 (5) データの多義

 以上の体系を、前述した4つの規則の観点からまとめれば、以下になる。

 (1) 指示規則
    - データ集合 (entity) の定義
    - データ集合 (entity) のメンバー
    (「resource」の定義と「event」の定義)

 (2) 生成規則
    - resource 対 resource
    - resource 対 event
    - event 対 event
    - 再帰 (recursive)

 以上の規則を適用して、データ構造の妥当性を実現している。そして、真理性規則・範囲規則として、「周延」概念・「多義」概念を適用して、データ集合のメンバー (個体) の真理性を実現している。

 「読者の広場」に投稿してくれた「娘」さんが、「保障された世界ほど安全なものはない」と綴っているが、モデルのありかたを、一言で撃ち抜いている。
 「構造の妥当性」と「値の真理性」を証明しないような体系を、モデルとは云わない。

 
 (2004年7月24日)

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