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A good twenty as nineteen.

 
 品質が、もし、「程度の問題」にすぎないのであれば、データ設計モデルなど、本気になって選択しようとは、だれも思わないでしょう。なぜなら、もし、そうであれば、データ設計モデルが実現するアウトプットは、「五十歩百歩」 (似たり寄ったりか、あるいは、悪い意味なら、「ドングリの背比べ」) くらいにしか思われていないから。

 前回まで、ときどき、述べてきたが、モデルは--およそ、モデルと云うなら--、以下の規則を提示していなければならない。(参考)
 (1) 生成規則
 (2) 指示規則
 (3) 真理性規則
 (4) 範囲規則

 生成規則とは、許された文の形式を定義する。つまり、構文に関する文法のことをいう。
 したがって、生成規則は、構文論の重立った論点である。

 指示規則とは、(構文のなかで記述される) 定項--言い換えれば、「個体」と「述語」--を定義する。指示規則は、構文論と意味論の接点である。というのは、指示規則は、指示関係を記述するので。指示関係とは、「x は、y を指示する」という対応関係のことをいう。

 指示関係では、x が記号であり、y が (記号外の) 対象--つまり、現実の事物--であれば、x のことを「対象記号」という。対象記号を扱う理論構成のことを「対象理論」という。
 いっぽう、x が記号であり、y が対象記号であれば--つまり、対象記号 y を、記号 x が指示する関係であれば--、x を「メタ記号」という。そして、メタ記号を扱う理論構成のことを「メタ理論」という。

 真理性規則は、「真」概念を定義する。「真」概念は、意味論の対象である。
 構文論も意味論も、それぞれ、「記述的 (経験事実的)」な体系と「論理的 (数理モデル的)」な体系がある。「論理的」な体系では--論理学および数学基礎論を前提にして--、「真」概念は、「...が真であるのは、 ...のとき、そして、そのときに限る」という記述形式を使って定義されることが多い。

 範囲規則 (range の規則) は、真理性規則といっしょに提示され、与えられた文が成立する状態記述 (「真」および「偽」) の集合をいう。文の値が走る「ドメイン (domain)」と云ってもよい。

 対象理論では、真理性規則として、一般手続きが、「真理値表」として確立されている。
 メタ理論では、「真」概念を提示することはむずかしいので、本稿では、割愛する。ただし、「むずかしい」という意味は、「できない」ということではなくて、たとえば、カルナップ氏は、メタ理論のなかで、「L-真」概念を提示している。

 
 さて、上述したように、生成規則・指示規則・真理性規則・範囲規則が提示されていれば--少なくとも、生成規則と指示規則が提示されていれば--、モデルでは、「程度の問題」という曖昧な論点は出ない。

 もし、データ設計モデルのアウトプットが「程度の問題」として考えられているのなら、モデルがモデルではない--モデルとして、生成規則や指示規則を提示していない--か、あるいは、モデルを使う人がモデルを理解していない、という2点のいずれかでしょうね。

 
 (2004年8月23日)

 
(参考)
 これらの規則は、カルナップ氏 (Carnap R.) が提示した。
 以下の文献を参照されたい。

 「意味と必然性--意味論と様相論理学の研究--」、ルドルフ・カルナップ 作、永井成男 他訳、紀伊國屋書店

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