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So many men, so many minds.

 
 集合の性質に対する考えかたを「集合的」といい、集合のメンバーに対する考えかたを「周延的」といいます。そして、「集合」としての性質が、そのまま、それぞれのメンバーに適用できる訳ではないし、それぞれのメンバーに属する性質が、そのまま、「集合」に適用できる訳ではないでしょうね。

 事物との事物のあいだに「関係」を結ぼうとすれば、それぞれの事物に対して、「集合的」な考えかたをしますし、インスタンス(メンバー)を対象にすれば、「周延的」な考えかたをします。したがって、「論理モデル」では、DAは、「データ構造」を記述するために、集合を括る一般的な名称を使うでしょう--たとえば、「登録品番」や「出荷品番」に対して、「品番」のように。なぜなら、「論理モデル」では、「形式の妥当性」が論点になるから。
 いっぽう、DBAやプログラマは、「周延的」に考えます。なぜなら、個々のメンバーを対象にして、有限回の操作をするためには、「値の真理性」が論点になるから。

 DAは、「論理モデル」のなかで、「品番」が、「登録」という事象と関与すれば、「登録品番」だし、「出荷」という事象と関与すれば、「出荷品番」として、考えるでしょうね、きっと。
 同じように、「日付」が、「受注」を記録するために使われたら、「受注日付」だし、「入社」を記録するために使われたら、「入社日付」として考えるでしょう、きっと。

 「論理モデル」は、「(世の中には) 同じ事物はない」ということを前提にして、事物を認知して、「構造 (事物と関係)」を記述します。したがって、「論理モデル」では、「(世の中には) 同じ事物はない」ということを示すために、なんらかの primary-key を使うはずです。「論理モデル」では、(インスタンスの一意性が検証されたら、) 一意性を実現している事物に対して、「命名規約」を適用する、というふうに考えているはずです。
 というのは、「論理モデル」では、(インスタンスを集合として記述するための) スキーマが、おもに、対象になっているので、「(共通の性質をまとめた) 名称」を使おうとします。

 そのために、「論理モデル」を記述するDAは、「品番」という呼称を使って、「登録」とか「出荷」を修飾語として考えるようです。そのために、プログラムのなかでは、以下のように、記述しなければならない、ということになります。

      「品番 of 登録」(あるいは、「品番 of 出荷」など)

 
 この記述を、DBAやプログラマは、嫌います--というのは、プログラム作成の負荷が増えるので。DBAやプログラマは、個々のインスタンスを対象にしますので、「登録品番」と「出荷品番」を、べつべつの事物としてみなします。

 おそらく、「通論では」、「概念設計」のなかで、「登録品番」とか「出荷品番」という呼称を認知して、「論理設計」のなかで、それらを「品番」として括るでしょう。そして、DAとDBAとプログラマが喧嘩するでしょう(笑)。

 
 (2004年11月 8日)

 

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