「商法の財務諸表は、云々」 とか 「税法は、収益・費用を、云々」 というような言いかたを、システム・エンシ゛ニア たちがしているのを聞いて、小生は唖然とします。この人たちは、商法や税法を--あるいは、会計学を--学習したことがないのではないか、と疑われてもしかたがないでしょうね。商法では、(証取法の財務諸表に相当する書類のことを) 「計算書類」 と云うし、税法では、(企業会計の収益・費用に概念を) 「益金・損金」 と云います。そして、証取法の財務諸表と商法の計算書類では、報告書類の種類が、若干、相違していますし、企業会計の収益・費用と税法の益金・損金では、若干、概念の相違があります--企業会計の収益・費用と税法の益金・損金では、ズレがあるので、税効果会計が導入されたのです。
そういう最も基本的なことを知らない システム・エンシ゛ニア が、財務管理の システム を設計したり、「経営に役立つ システム を作る」 と言っても、空回りしているでしょうね。
企業会計では、会計年度を1年としても、財務諸表の公表は、半期・四半期となりました。つまり、management の通信簿が、そういう単位で報告される、ということです。したがって、もし、財務管理の システム を、2年を費やして作るとすれば、(たとえば、半期の報告を前提にして、) management のほうでは、4回 の feedback が実施されている、ということになります。言い換えれば、経営的な feedback が 4回も実施されたら、当然ながら、戦略上 (事業戦略上)、いくつかの変更が導入されている、ということになります。
とすれば、システム 設計を開始した 2年前の 「システム 理念 (あるいは、目的)」 が、2年後の導入時には、変更されている可能性が高い。
そうだとすれば、われわれ システム・エンシ゛ニア が、エンシ゛ニア (技術の専門家) として やらなければならないことは、半年くらいで システム を作って、かつ、変更しやすい システム 構造を作る、ということでしょうね。システム 作りの現場では、いまだに、30年前の システム 作りが多いのを観るにつけ、小生は 「凍りつくような 空恐ろしさ」 を感じています。半期・四半期で通信簿が提示される経営者が、そういう システム 作りの現状を聞けば、われわれ システム・エンシ゛ニア に対して、不信感を抱いても当然のことでしょうね。
(2005年10月 1日)