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The hood does not make the monk.

 

 英語には 「iconoclast」 という単語 (概念) があります。私の気に入っている概念の一つです。「iconoclast」 は、以下の意味です(参考 1)

1. A breaker or destroyer of images; spec. (Eccl. Hist.) one who took part in or supported the movement in the 8th and 9th centuries, to put down the use of images or pictures in religious worship in the Christian churches of the East; hence, applied analogously to those Protestants of the 16th and 17th centuries who practised or countenanced a similar destruction of images in the churches.

2. transf. and fig. One who assails or attacks cherished beliefs or venerated institutions on the ground that they are erroneous or pernicious.

 
 「iconoclast」 を単純に言い切れば、偶像破壊主義者 (a breaker of icons)・因襲打破主義者 (one who tries to destroy old belief) ということです。
 「iconoclastic」 な人物は、社会に流布している通念を疑わない人たちにとって 「危険人物」 に映るでしょうね。

 前回 (8月 8日付けの 「反 コンピュータ的断章」)、ウィトゲンシュタイン 氏の以下のことばを引用しました(参考 2)

      私が教えるものは、ある表現の用法についての形態論である。私は、
      君たちが想像もしなかったような用法があることを示す。ふつう哲学
      では、ある概念を、あるきまった見方で見るように強いられていると
      感じるものだ。私が教えることは、べつの見方がありうるということ
      を教え、あるいは進んでそういった見方を創造することである。今まで
      考えたこともないような見方がありうることを教える。君たちが、1つ
      の、あるいはせいぜい2つの見方しかないと思っていたのに、外の見方
      もあると考えるようにさせたいのだ。それからさらに、概念のあり方が
      せまい範囲にかぎられると思いこむのが馬鹿らしいということに気が
      つくように指導したいのだ。こうして、君たちを身うごきできないよう
      にしている考え方から解放して、自由に言葉を使えるように、また、
      いろいろちがった種類の用法に気がつくようにした。

 かれは、まぎれもない 「iconoclast」 でしょうね。
 私は、システム・コンサルタント として、「制度 (確立された手続き)」 の有効性を疑う 「iconoclast」 でありたいと思っています。

 
(参考 1) Oxford English Dictionary (OED2 on CD-ROM).
(参考 2) ノーマン・マルコム著、板坂元 訳、「ウィトゲンシュタイン」、平凡社ライブラリー。

 
 (2006年 8月23日)

 

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