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Dogs wag their tails not so much in love to you as your bread.

 

 私は、システム・コンサルタントとして、様々な業界の企業に雇われてきました。そして、私がいっしょに仕事をしてきた人たちは、ほとんどすべて、情報 システム 部に帰属する エンジニア たちでした。数多い企業の様々な情報 システム 部を観てきて、それらの情報 システム 部に共通する 「不思議な」 性質を感じています。

 その 「不思議な」 性質とは、或る企業に勤める システム・エンジニア たちは、みずからの企業の エンドユーザ と 価値観を共有するよりも、他の企業に勤めている システム・エンジニア たちと価値観を共有していることが多いという性質です。すなわち、システム・エンジニアは、みずからが帰属している企業のエンドユーザに対する同志意識よりも、ほかの企業に勤めている システム・エンジニア に対する仲間意識のほうが強いという性質です。

 たとえば、或る企業で自動車を設計しているエンジニアがいるとして、その人は、ほかの企業で自動車を設計しているエンジニアと、はたして、仲間意識を感じるのかしら。たぶん、仲間意識よりも、競争意識を感じるのではないでしょうか。というのは、かれらが作っている プロダクト は、それぞれの企業の事業を構成しているのだから、競争意識が出るのは当然でしょうね。

 いっぽう、システム・エンジニア のほうでも、かれらが作っている プロダクト (コンピュータ・システム) は、経営過程 (事業過程・管理過程・組織過程) を効果的・効率的に進めるための商品なのだから、(企業ごとに特徴のある) 競争商品なはずですが、どうも、そういう意識は薄いようです。
 システム・エンジニア のあいだでは、システム・インテグレター とか ソフトウェアハウス という職業が成立しているように、コンピュータ技術そのもの-のほうが、それを使って作る商品に較べて、強く意識されているようで、その意識が、様々な企業の情報 システム 部のあいだで、仲間意識を生んでいるのかもしれないですね。

 私は、その仲間意識を良いとか悪いとか判断するつもりはないのですが、ただ、企業に帰属する情報 システム 部の システム・エンジニア たちのあいだに、みずからの作った プロダクト が--たとえ、それが企業のなかでのみ使われて、マーケットに投入されることはないにしても-- 「商品」 であるという意識が薄いことを憂慮しています。

 
 (2006年 9月 1日)

 

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