ユーザ の DA (Data Analyst) が作成した TMD (TM Diagram、T字形 ER図) を添削することが私の仕事です。そして、ユーザ は、私を 「先生様」 扱いして、私の推敲を 「絶対に正しい」 と思い込んでいるふしがある (苦笑)。
「徂徠集」 を読んでいて--「徂徠集」 に収められている 「安藤東野に与える書」 のなかで--、私の気持ちを代弁している文に出会ったので、以下に引用します。(参考)
私が他人の文章に手を入れるときには、たいがい一つか二つは わかりやすい
疵 (きず) を残しておき、作者に もう一度 手を入れなおさせて、自分の手で
完成させるようにします。これが私の家法です。
だいたい、私に文章を直してもらおうとする同人は、みな あまりにも私を信用
しすぎていて、一度 私が書き直すと、もう それで手を加える余地がないと思い
こんでしまいます。それでは私の金縛りにあったようなもので、どうして上達でき
ましょう。みごとに できあがった一篇によって当座の評判を取るよりは、窓をあけ
て よく考え、後日の悟りを得る方がよいではありませんか。私は同人が一日の
にせ才子となることを望まず、百年の真才子となることを望むのです。先方では
さしせまった当座の受け答えの文章を書くので、私が その事情も考えずに
つれないと恨むかもしれませんが、私としても先方の本心と違う文章にはしたく
ないのです。
私の気持ちを みごとに代弁してくれています !
(参考) 「荻生徂徠」、尾藤正英 責任編集、中公 バックス 日本の名著、中央公論社、
258 ページ - 259 ページ。引用した訳文は、前野直彬 氏の訳文である。
(2007年 5月 8日)