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Then your ideas must be superficial. (A.N. Whitehead)

 

 ホワイトヘッド 氏は、以下の ことば を遺しています。(参考)

    Whenever I hear, as I sometimes do, one of my colleagues say
    that there are no ideas which cannot be expressed clearly in
    simple language, I think "Then your ideas must be superficial."

 "superficial" の意味は、"shallow, not deep or thorough (皮相的な、薄っぺらな)" です--句例は、"superficial knowledge" とか "superficial writer" とか "a superficial understanding of art"。

 "simple language" は、「やさしい (単純な、簡単な) 言いかた」 という意味です--句例は、"use simple language" (やさしい言いかたをする)。ここでは、 "language" は、「言い回し、語法」 のことでしょうね。

 したがって、ホワイトヘッド 氏が言いたかったことは、以下の点でしょう。

    「やさしい言いかたで明白に述べられないような思想などない」 というふうに
    言われることを聞くけれど、もし、そうだとしたら、その思想は、薄っぺらに
    ちがいない

 この意見に私は同感します。「専門用語」 を 「やさしい言いかた」 で言い換えたならば、かならず、「正確性」 を犠牲にします。そうでなければ、「専門用語」 など不用でしょう。したがって、「やさしい言いかた」 では、「明白に語る」 ことはできない--「やさしい言いかた」 で、おおざっぱ (おおまか) に着想を述べることはできても。

 たとえば、数学で、数式を使って証明された概念を、もし、「やさしい言いかた」 で記述するとすれば、良心的な数学者であれば、かならず、「数学的な厳密さを犠牲にして、おおまかな考えかたを述べるなら」 という条件をつけるはずです。プログラマ なら、この厳正さを理解できるでしょう。プログラマ は、言語の構文論に従って、ステップ を一つずつ記述して、アルゴリズム を作ります--この アルゴリズム こそが 「証明可能性」 の典型例でしょう。もし、その アルゴリズム を 「やさしい言いかた で明白に述べてください」 と問われたら、プログラマ は戸惑うでしょう。そして、その問いに応えようとすれば、強いて、「しかじかの手続きをやっています」 というふうに、「おおざっぱに」 言うしかないでしょう。でも、そういう 「おおざっぱ」 な概念では、プログラム はうごかない (!)

 そういう厳正さは、データ 設計でも、当然に実現しなければならない。というのは、データ 設計は、データ を 「構成する」 のだから。ただ、もし、データ 設計が いい加減でも、その いい加減さを プログラム のほうで是正できるので、データ 設計をやっているひとが、いい加減でも、なんとか システム を作ることができますが、プログラマ は請け負わなくても良い苦労を しょい込むことになります。

 さて、データ 設計が、プログラム と同じような厳正さを実現しているかどうかという点を、あなたは、どうやって 「計量」 しますか (あるいは、厳正さを計測できる手続きを知ってしますか)。もし、そういう手続きが存在しないならば、データ 設計など シロート でもやれる 「ちょろい」 仕事でしょうね。ただし、そういう手続きは、ちゃんと存在します。そして、そういう手続きが ちゃんと存在しているのだから、もし、あなたが、「データ 設計では、そういう手続きはない」 と言うならば、そういう手続きを 「知らない」 だけでしょう。

 
(参考) "DIALOGUES", 1953.

 
 (2007年11月 8日)

 

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