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 私 (佐藤正美) は、いま、数学の 「ツォルン の補題 (Zorn's lemma)」 に興味を抱いています。この レンマ は、ゲーデル 氏の 「不完全性定理」 でも使われています。「ツォルン の補題」 は、ツェルメロ 氏の 「選択公理」 と論理的に同値だそうです。

 「ツォルン の補題」 とは、「任意の半順序集合は、極大な部分順序集合をもつ」 という命題です。「半順序」 というのは、なんらかの並べかたがあるということで──たとえば、包摂関係 ⊆ とか──、かならずしも、線形順序 [ x ≦ y の大小関係 ] ではない。「全順序」 とは、「半順序」 のうえに、さらに、「順序 ≦ の大小関係」 があることを云います。したがって、「全順序」 は 「半順序」 ですが、その逆は一般に成り立たない。

 私が 「ツォルン の補題」 に興味を抱いている理由は──ただし、私は システム・エンジニア であって数学者ではないので、この レンマ の数学的な使いかたを熟知している訳ではないのですが──、半順序集合 M の部分順序集合 N の性質について気になるからです。すなわち、M の順序を用いて N のなかに自然に定義される順序について──数学的に云えば、「帰納的」 な線形順序ということですが──、N は全順序集合である、という点が私の興味を惹きつけているのです。もし、N の全順序集合 (「帰納的」 な線形順序) という性質を 「緩やか」 に適用すれば──たとえば、時系列で並べることができる、というふうに──、TM で定義している 「entity」 概念 (すなわち、「event」 概念および 「resource」概念) を 「『ツォルン の補題』 を前提にすれば」 というふうに単純に説明できるでしょう。

 拙著 「いざない」 では、「event」 概念・「resource」 概念を 「関係の非対称性・対称性」 を前提にして 「閉包・外点・特徴関数」 を使って説明していますが──すなわち、全順序集合の閉包 (基底) を 「event (できごと、行為)」 として、その外側に半順序集合の開集合として 「resource (主体、行為者)」 を考えていますが [ ただし、この開集合は、「entity」 の クラス のなかでは閉集合ですが ]──、「ツォルン の補題」 を使えば、きっと、単純に説明できるでしょう (単純に説明できるはずです)。

 「ツォルン の補題」 の構想は、数学的厳密性を犠牲にして単純に言い切れば、「全順序 ⊂ 半順序」 と云っていいでしょう。[ ← こういうふうに言い切ったら、数学者たちに怒られるかなあ、、、。 ]

 
 (2009年 5月23日)

 

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