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It's not probable, but it's possible.

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations の セクション agreement のなかで、以下の文が私を惹きました。

    Ah! don't say you agree with me. When
    people agree with me I always feel that I
    must be wrong.

    Oscar Wilde (1854-1900) Irish-born British dramatist.
    The Critic as Artist, Pt. 2

 
 Oscar Wilde は 「天の邪鬼」 で言っている訳じゃない。「通説」 に challenge しているひとであれば、かれの言を実感できるでしょう。

 

    If two men on the same job agree all the
    time, then one is useless. If they disagree all
    the time, then both are useless

    Darryl F. Zanuck (1902-79) US film producer.
    The Observer, 'Sayings of the Week', 23 Oct 1949

 
 ロジック を学んだひとであれば──あるいは、debate を学んだひとであれば──、いかなる場合でも、決議 (あるいは、意見) が one-way traffic あるいは unanimous になることを嫌うはずです──賛否の論弁を fairly に扱っていない決議 (あるいは、意見) を嫌うはずです。もし、採決 (あるいは、意見) が当初から unanimous になりそうな気配がある場合には、そして私が その会議に列席していれば、私は、たとえ賛成の立場であっても、「わざと」──しかも、「本気で」── devil's advocate を演じます [ 反対の立場に立って論じます ]。

 私が英語を学習してきて最も役立った点は、次の意識を養った点だったと思っています。

    I'm in control of my own circumstances.

    I'm always in firm control of my subject.

 たぶん、この意識こそが英語という言語の前提になっている哲学ではないかしら。そして、この意識が idea や belief を尊ぶ態度として現れるのではないかしら。

 或る動議に対して賛否の論を構成することは、さほど難しいことじゃない。すなわち、以下の いずれかの考えかたをとればいいだけでしょうね。

    It's not probable, but it's possible.

    It's possible, but it's not probable.

 どちらの可能性に賭けるかは belief の問題でしょう。そして、belief を除いてしまえば──言い替えれば、動議に関する証明を ロジック のみの論点として扱えば──、devil's advocate を演じることはできる。That's your logic, I have my own logic. という言いかたは私の好きな表現のひとつです。そういう意識を持っていれば、unanimous という状態に対して恐怖感を覚えるでしょう──個々人が、それぞれ、様々な人生を歩んできたなかで、unanimous となるのは (あるいは、たがいに同意を得ることは) そうそう簡単なことじゃないでしょうね。だから、ふたつの意見がぶつかったら、compromise しなければならない [ ゆえに、交渉という手腕が問われるのでしょう ]。しかし、idea や belief を尊ぶ強い個性は compromise を嫌う。Oscar Wilde の言っている When people agree with me I always feel that I must be wrong. を私は実感できます──私の セミナー に対する rating において、「たいへん良かった」 が多いと私は不安 [ じぶんの説明のしかたが間違っていたのではないかという不安 ] を覚えます。私は決して 「天の邪鬼」 じゃない──じぶんの idea と belief を大事にしたいだけです──すなわち、I for myself でありたいだけです。   

 
 (2011年 3月 1日)

 

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