Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations の セクション bureaucracy のなかで、以下の文が私を惹きました。
A memorandum is written not to inform the
reader but to protect the writer.
Dean Acheson (1893-1971) US lawyer and stateman.
Attrib.
The best way to kill an idea is to take it to a
meeting.
Anonymous
最初の引用文を 「弁護士かつ政治家」 が そう言ったのであれば── attrib. (attributive) とされているので確証はないのでしょうが──、なるほどと肯ける文ですね。確かに、memorandum は、往々にして、揚げ足を取られまいと固めた (重装した) 文が多いですね。読み手が利害得失に絡む人たちであれば、そうなるのは しかたがないといえば、しかたがないのかもしれないけれど。役人の書く文が そういう性質の強いことは古来云われてきたことなので、私は、今更、ここで それを オウム 返しするつもりは更々ない。ただ、会社の会議で配付される文書でも──そして、学術論文でも──、そういう性質の文を多々観ることがあるので、鎧兜では一挙手一頭足も鈍い動作になるだろうに、と私は そういう文書 (あるいは、論文) を眺めながら呟いている。なるほど隙のない文だけれど、畢竟 それだけだ、と──他人 (ひと) は、そういう文には一向も感応しないでしょう。法令などの公的条文なら、そういう性質にならざるを得ないのでしょうが、私的意見を述べる文が そうであっては不毛です [ じぶんを セールス すべき文が初めから守護に立っては埒があかない ]。
じぶんの意見を述べる文であれば、次のような構成で logical thread を立てて真っ直ぐに述べればいいのではないかしら。
1. NEED (based on analysis of the status quo.)
(1)That a problem exists.
(2)Why a problem exists.
2. SOLUTION (based on analysis of the proposed policy.)
(1)That a solution exists.
(2)Why the solution works.
(2)-1 practicality.
(2)-2 workability.
(2)-3 benefits.
さて、二番目の引用文ですが、「なるほどね」 と感じました。ブレン・ストーミング が純正な (本来の) 意味どおりに実施された ミーティング を私は体験したことがないので──その真似事には幾度か出席していますが──、この引用文の云っていることを実感できる。同じ教育をうけた連中のあいだでは、同じ年代あるいは それ以後の世代の人が、じぶんの意見に較べて抜きんでた着想を思い浮かぶ訳がないと思い込んでいるふしがある。そういう思い込みが、相手の意見を そのままに聴かない色眼鏡となるようです──そして、粗探しをする。同質な人びとの集まりでは、「抜け駆け」 を察知するように作用するようです。そういう社会では、着想が具体的な形 (所見) として整えられるまでは、しゃべらないほうがいいのかもしれない。
私は、社員研修の講師を務める折り、かならず、初回において次のように宣言します──「この部屋の中にいるあいだは、学ぶという行為では全員が同等である」と。勿論、私の謂う 「同等」 は、職位・年令・性別において discriminative treatment を持ち込まないということ。尤も、私が社外の講師だから それができるのかもしれない。社内のひとが講師をすれば、様々な柵 (しがらみ) があって、なかなか、そうはできないでしょうね。社外の講師が雇われる理由もそこにあるのかもしれない。
(2011年 8月16日)