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It is more tolerable to be refused than deceived. (Publilius Syrus)

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション deception のなかで、以下の文が私を惹きました。

    Almost every man wastes part of his life in
    attempts to display qualities which he does
    not possess, and to gain applause which he
    cannot keep.

    Samuel Johnson (1709-84) British lexicographer.
    The Rambler

 
    You can fool some of the people all the time
    and all the people some of the time; but you
    can't fool all the people all the time.

    Abraham Lincoln (1809-65) US stateman.
    Attrib.

 
 セクション deception の前に セクション death が設けられていて 133篇の quotations が記載されているのですが、death について意見を綴るのは──しかも、133篇もの卓見を読みこなして意見を述べる事は──今の私には手に余るので、セクション death を割愛しました。

 さて、deception。最初の引用文を私は (40才を超えた時から) 自戒として堅持して来ました──逆に言えば、40才以前には、引用文に述べられている狡獪な性質を どぎつく帯びていたという事です (苦笑)。私の 40才という年齢は、今振り返ってみれば、生活の転換時点であったと思います──T字形 ER法 (TM の前身) を制作し始めた年齢です。即ち、自分自身 (の思考) との戦いを始めた年齢です。それ以前は、他人 (ひと) の言説を講釈して、まるで自身がその言説を作って熟知しているような──即ち、引用文で述べられているような小賢しい・見窄 (みすぼ) らしい──状態に陥っていたという事。そういう人たちを多く目にするのですが、私は、私自身の若い頃を見せつけられている様で辛いので、そういう人たちとの話には入らないようにしています。

 しかし、そういう小賢しい状態を聊 (いささ) かも体験しないで、思考を拡充する事は──言い訳になるかもしれないのですが── (天才を除いて、) 有り得ないのではないかしら。大事なことは、自分の論敵は自分自身であるという事に いつか気づいて copycat を いずれ卒業する事でしょうね。「学ぶ事は真似る事だ」 などという cliche を今更述べるつもりは更々ないのですが──そういう事を今更ながら言われたら、「あんたに言われたかあないわ」 と 私なら吐き捨てるでしょうね (笑)──、正統な・正当な論を学んで旅立ちの用意をして自分の足で一歩一歩漸進している若い人を観るのが私は愉しい。そういう若い人が 多少 気負っていようが生意気であろうが、いずれ伸びる可能性を感じさせてくれる人物なら、私は不快感など 毛頭 覚えないし、応援したい [ 生意気なくらいの若い人を私は好きです ]。

 私が反吐の出るくらい嫌いな性質は、(一番目の引用文に戻りますが、) 他人 (ひと) の言説を借用して──他人の言説を巧妙に言い替えて物事を知っているように思い込んで──他人(ひと)よりも悧巧だと思っている人物や馬鹿げた事をやらないで生きてきたという事を仄 (ほの) めかす性質です。若い人たちは自我に目覚めても実力を出す職に直ぐには就けないので、自分と仕事との関係で実力を計量するよりも、他人と比較して個性を出そうとしがちですが、個性とは仕事に打ち込んで自分を消し去る一途さの中で顕れる性質です。そういう意味では、生意気なくらいの性質のほうが、後々、自身の無力を覚って改悟しやすいのではないかしら。というのは、そういう性質の人物は難問に立ち向かいたがるので、いずれ、難問にぶつかって立ち往生するでしょう──その時に、自身の身の振りが問われる。少々生意気でなければ、そういう状態に直面した時に つぶれてしまうでしょうね。勿論、生意気で実力が ともなわないのは論外です (笑)。以前の 「反 コンピュータ 的断章」 の中でも引用しましたが、ドストエフスキー 氏の次の ことば を私は若い人たちに贈りたい (私が自戒にしている ことば です)。

    人生においてなによりもむずかしいことは──
    嘘をつかずに生きることである・・・そして
    自分自身の嘘を信じないことである。

 
 (2012年 6月 8日)

 

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