Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション drunkenness のなかで、以下の文が私を惹きました。
Man, being reasonable, must get drunk;
The best of life is but intoxication.
Lord Byron (1788-1824) British poet.
Don Juan, U
It's my opinion, sir, that the meeting is drunk.
Charles Dickens (1812-70) British novelist.
Pickwick Papers, Ch. 33
A man who exposes himself when he is
intoxicated, has not the art of getting drunk.
Samuel Johnson (1709-84) British lexicographer.
Life of Johnson, (J. Boswell), Vol. V
No, thank you, I was born intoxicated.
George William Russell (1867-1935) Irish poet and dramatist.
Refusing a drink that was offered him
10,000 Jokes, Toasts, and Stories, (L. Copeland)
前回の 「反 コンピュータ 的断章」 で、drink を テーマ にしました。そして、drink の footnote として See also alcohol, drunkenness, water が記されているのですが、drunkenness が今回の テーマ です。
Drunken (酔った状態にある) と云っても、上に引用した文は、三番目を除いて、「(精神的に) 陶酔した状態」 を述べていますね──三番目の文も見かたに依っては隠喩としても読む事ができるでしょう。一番目と四番目は、同じ 「意味」 を伝えていますね──「芸術に酔っている」 と、しかも、その酔っている状態を良しと考えている芸術家らしい口調ですね。私も幾分その様な状態にある (笑)。だから、この二つの引用文に私は共感を覚えます。これらの二つの文を読んで、本 ホームページ の 「思想の花びら」 で かつて 引用した次の ことば を思い起こしました。
生きるとは、夢みることだ。
賢明であるとは、.....こころよく夢みることだ。
(シラー、詩人)
天才を除いて、五十才にもなれば、若い頃に思い描いた自分の可能性が 「夢」 で終わった事を痛感しない人はいないのではないかしら──野心の強い人ほど たぶん そうでしょう。私もその様な阻喪感を味わいました。自分の才知を過信した凡人が あるがままの自分でしかないという絶望を感じた時に、夢を見る他に済(すく)う手立てがないではないか。自分が辿り着けなかった楽園を夢見て、その存在を信じるしかないではないか。私は システム・エンジニア を職としているので、「科学の世界」 (あるいは、応用数学) に関して夢を抱いていると思われるかもしれないのですが、私が夢見た (そして、今も夢見ている) 桃源郷は 「芸術の世界」 です。
私は、たぶん、「真」 とか 「美」 に酔いやすい性質 (たち) なのでしょう。しかし、私は、集団が酔っているのを観ると嫌悪感を覚えます。二番目の引用文がそれを述べています。集団が仲間内で自分たちの存在価値を確認しあっているのを観ると私は吐き気を覚える。或る目的を実現するために人々が集まったのであれば、自分はその目的を実現するために集団の中で [ 果たすべき ] 役割を与えられた一つの機能であるという クール さ (collected、composed、calm) を常に意識して置くべきでしょう。「夢」 を抱く事は、狂信を決して意味しない。それを述べたのが三番目の引用文でしょうね──「酔いかた」 を知らない連中だ、と。
(2012年12月16日)