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There is no failure except in no longer trying. (Elbert Hubbard)

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション failure のなかで、以下の文が私を惹きました。

    She knows there's no success like failure
    And that failure's no success at all.

    Bob Dylan (1941- ) US popular singer.
    Love Minus Zero No Limit

 
見事な逆説ですね──素直に観て素直に表現したら逆説になったという事のほうが、反対概念を立ててたやすく表現できる概念に比べて、機微をうがっていますね。Success と failure は普通なら反対概念ですが、Bob Dylan 氏はそれらをはじめ同一視してその後に failure (前後の文脈がわからないので、どのような failure なのかが定かではないのですが) 決して success なんかじゃないと言っている。Success の意味は (1) the accomplishment of aim or purpose とか (2) the gaining of fame, wealth, or social status でしょうが、(1) の判断尺度を (社会の中ではなくて、) 自分の中に置いた場合に、たとえ目的を達成したとしても、そして他人がいかに高く評価しても、自分が感じる満足度 (達成感) は十分でない状態もあるでしょうね── soul-searching 癖のある人は特にそうでしょう (私はそうです)。

私の人生は失敗の連続だった。失敗は後味が悪い (意に満たない)。そういう後味の悪さを味わいたくないので、もっと上手になるように頑張る。失敗の連続だったゆえに、私は怠けなかった、と言ってもいいかもしれない。その意味では、I know that there's no success like failure。しかし、個々の失敗は決して成功じゃない。それでも、自分の人生を振り返って、一個の personality formation としては、徐々に改良されてきたと思う。

自分で何か (something) を作った人は満足を感じていると云われるが、私はそんな人を一度も見た事がない。満足である (あるいは、成功した) 事を自慢するのは、ばか者に限る。満足をささえるために、やり切れぬ思いをするのが普通の人の感情でしょう。

 
 (2014年 9月16日)

 

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