Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション Humour の中で、次の文が私を惹きました。
A joke's a very serious thing.
Charles Churchill (1731-64) British poet.
The Ghost, Bk. W
Total absence of humour renders life impossible.
Colette (1873-1954) French novelist.
Chance Acquaintances
A comedian can only last till he either takes
himself serious or his audience takes him
serious.
Will Rogers (1879-1935) US actor and humorist.
Newspaper article, 1931
It's hard to be funny when you have to be clean.
Mae West (1892-1980) US actress.
The Wit and Wisdom of Mae West (ed. J. Weintraub)
「ユーモア のない 1日は寂しい」 と、島崎藤村が言ったとか。ユーモア とは何かについては、以前、「読書案内」 で綴ったので割愛しますが、ユーモア とは人生に真面目に向きあった大人 (おとな) が味わうことのできる 「濃縮された極上の諧謔 (洒落)」 でしょうね。
私は ユーモア 集を読むのが大好きです──WWW 上で集めた英語の ユーモア を Facebook に 1日 1つずつ アップロード しています (それを読んだと思しき外国の人たちから友達申請がありました)。本 ホームページ の 「読書案内」 をご覧いただいてわかるとおり、(WWW 以外に) 私は ユーモア 集の書籍も多数集めて読んでいます。島崎藤村の言うように、「ユーモア のない 1日は寂しい」。
真面目な人を立派だとは思うのですが、その人が ユーモア をわからないような石部金吉であれば私は つきあいたくはない。そして、下手な書籍・論文を読むよりも、気の利いた ユーモア を一つ読んだほうが、よっぽど思考を促される──下手な書籍・論文とは、他人が既に言ったことを単に焼き直して、先人の説に比べたら (後発なので) 論法は いっそう正確なのだけれど、窓のない部屋のように見通しが効かない [ 外部を展望できない ]。見通しの効かない部屋に閉じこめられた (locked up、shut up) ようで息苦しい。そういう状態では、書籍・論文を読んでも私には新たな着想は産れはしない。
芥川龍之介氏は次の言葉を遺しています (「侏儒の言葉」)──
庸才
庸才の作品は大作にもせよ、必ず窓のない部屋に似ている。人生の
展望は少しも利かない。
機智
機智とは三段論法を欠いた思想であり、彼等の所謂 「思想」 とは
思想を欠いた三段論法である。
そして、三段論法について、ユーモア 集に記載されていた次の ジョーク を読んだとき、私は大笑いしました [ その機智の鋭さに驚嘆しました、Logic で云うところの 「多義の虚偽 (fallacy of dictione) です ]──
I am a nobody, nobody is perfect, therefore I am perfect.
もう一つ多義の例──
What do lawyers do after they die?
They lie still.
Lie still が多義になっている (笑)。
これらの ジョーク を瞬時に わかるには、そうとうな社会学習を前提にして、かつ機転 [ 感性、知性 ] が要るでしょう。ユーモア を不謹慎である [ ふざけている ] と思うなかれ。
ユーモア 集に収められていた次の文で この エッセー を締めくくります──
A day without smailing is a day wasted.
(追記)
本文のなかで綴った文 「他人が既に言ったことを単に焼き直して、先人の説に比べたら (後発なので) 論法は いっそう正確なのだけれど、窓のない部屋のように見通しが効かない」 ということに関連して、「無名草子」(鎌倉時代) のなかに私の所感と同じような批評を述べた文を見つけました──
それよりのちの物語は、思へばいとやすかりぬべきものなり。かれ
を才覚にて作らむに、「源氏」 にまさりたらむことを作りいだす人
ありなむ。( [ 訳 ] 「源氏物語」 より後の物語は、「源氏物語」 を
手本すれば簡単に作れるだろうが、「源氏物語」 以前にこれほど
すばらしい作品はなかったのだからすごいと言っている。)
「無名草子」 は 1200年頃に書かれた (物語・歌などの) 評論集です。約 820年も前に 私の所感と似たようなことが すでに綴られているを見つけて、「いと をかし」。
(2019年 2月15日)