Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション Love And Marriage の中で、次の文が私を惹きました。
Love is moral even without legal marriage,
but marriage is immoral without love.
Ellen Key (Karoline Sofia Key; 1849-1926) Swedish writer.
The Morality of Woman and Other Essays, 'The Morality of Woman'
Any one must see at a glance that if men and
women marry those whom they do not love,
they must love those whom they do not marry.
Harriet Martineau (1802-76) British writer.
Society in America, Vol. Ⅲ. 'Marriage'
今回の テーマ は 「愛と結婚」 ですが love の テーマ が今回で 4回目になるので── 4回続いているので──、私は さすがに食傷気味になってしまいました。引用文の二つは いずれも 「愛していないのに結婚している状態と、結婚していないが愛がある状態」 を述べていますが、現代では、こんなことは大人であれば たいがいの人たちは (その人たちの経験に基づいていようがいまいが) もっと巧みに言うことができるしょう。社会生活を営んでいるかぎりにおいては、恋愛結婚をしても、いつのまにか恋愛はさめて日常的 (平凡な) 生活をするようになるし、いっぽう恋愛によらない結婚 (たとえば、「見合い結婚」) をしても、妻との生活に慣れて同じく日常的な生活を送るようになるというのが たいがいの人たちの生活ではないか。ちなみに、私は 「見合い結婚」 でした──「見合い結婚」 では、相手と会って [ 見合いして ] 直感的に 「波長が合わない」 と思ったら、結婚まで至らないでしょうね、恋愛結婚であれ見合い結婚であれ、夫婦になって生活を続けていけば、とどのつまり 「なんとなく好き」 という状態に落ち着くのではないか。「なんとなく好き」 という状態は、恋愛していた頃の情熱に比べれば、物足りないだろうけれど、生活をいっしょにしていくということは そういうことではないか。若い頃に体験した恋愛──相思相愛であっても なんらかの理由で破局した恋愛──は、「熱い悲しい思い出」 として心の中に収めておけばいい。その思い出は、年老いても褪せることはないし、きっと その人の人生での 「味」 となっているでしょう。若い頃には、自らの恋愛が至高のものと思いがちだけれど──若い人が自らの恋愛を饒舌に語ることを私は苦笑して聞くけれど、聞くのが嫌という訳ではない──、大のおとなが自らの恋愛を誇らしげに語るのは聞くに堪えない、たわけの沙汰だと思う。
(2021年11月 1日)