芸術家とは、「理解されない」 という諦念と 「理解されたい」 という願いの はざま で翻弄されている漂泊の人である。
鑑賞すなわち「間主観的な感応」とは、作者が、作品のなかで、思わず、漏らした「呻き」を聴く作業である。野晒しに身を呈する--それが、漂泊の性質である。つまり、鑑賞は--もし、それが、文字通りの作業であれば--、作者が、作品のなかで、描こうとして描き切れなかった際限まで、いっしょに歩み、作者の「呻き」を聴くことである。
(2005年 3月 1日)