精神的に断崖まで進まなければ、緊迫した作品を作ることができない。私の戦う相手は「私自身 (の思考力)」なのである。小手先で小綺麗にまとめあげた作品など、私に とっては「にせもの」でしかない。確固たる構造を呈示する作品は、作者 が全霊を打ち込んで、破壊と構成を繰り返し、苦渋に満ちた戦いの末に建てた 宮殿なのである。建強で円やかな柱に込められた作者の強靭な意志を、 それと同程度の破壊の誘惑を、手に触れて感じるべきだ。
(2005年 6月 1日)