対象の構造の礎石や柱を見透かすまで直視し凝視する。次に、対象の主調音 の響きに耳を傾ける。そして、対象がほのかに放つ香りを嗅いで、指で細やかに対象を 撫で吟味する。こういう作業を持続してこそ、対象を 「生きた」 存在として 体感することができる。吟味とは、本来、「持続」 を前提としている。そして、 この 「持続」 こそが、熟練に至る道であり、ひとつの事を持続することは、他 のことを拒絶したことであり、禁欲にならざるを得ないのである。 (2006年 2月 1日)
(2006年 2月 1日)