思想の棚卸し:
(1) 有島武郎からは、「理想と現実の戦い」 を教えられた。
しかし、気負った「甘さ」、単純な 「二者択一」 の誹りは免れないが。
(2) ヘルマン・ヘッセ からは、青春時代の懐かしさ (思い出ではない)・危うさ。
故郷 (私には、故郷の風景に限られるが) を忘れないこと。
(3) 八木重吉からは、日常の ことば も 「詩」 になること。
ことば の繊細さを知った。
(4) モシ゛リアニ からは、生活の悲哀 (「青い目の女」)。
(5) 三島由紀夫からは、「生花よりも美しい造花」 があること。
正確にものを観て、豊饒な語彙のなかから的確な ことば を駆使すること。
(6) 川端康成からは、「冷徹な妖艶美」 があること。
(7) 亀井勝一郎からは、まやかしの知性・饒舌を避けること。
生活の根底に沈潜し、誠実に生活を送ること。
(8) キ゛ットン からは、書物を読む技術・文を まとめる技術。
(9) ヘ゛ートーウ゛ェン からは、「構成」 のみごとさ。
宗教を現実的に鷲掴みにした音楽家。
(10) モーツァルト からは、「生得の (透徹した) 悲哀」。
「ト゛ン・シ゛ョハ゛ンニ」 で 石像が迫る悔い改め、そして、ヒ゜アノ・コンチェルト
23番第 2楽章--この 2つの音楽が、一人の音楽家のなかに共存するとは。
ウィトケ゛ンシュタイン は語った--ヘ゛ートーウ゛ェン には 「天国」 はあっても
「地獄」はないが、モーツァルト は、「天国」 も 「地獄」 も知っていたと。
(11) ウィトケ゛ンシュタイン からは、思考法 (対偶のみごとさ)。
はじまりを見つけることは むずかしい。
否、はじめにおいて はじめることが。
そして、そこから、さらに、遡ろうとしないことが。
「論考」 と 「探求」 (「理想」 と 「現実」 の壮絶な相克)。
(12) 澤木興道老師のことば、
サ゛ッ と言うな。アホ のくせして、黙っとれ。
どっちゃ向いて、えらいんだか。
(13) 道元禅師のことば、
波もひき 風もつながぬ捨て小舟 月こそ 夜半のさかりなりけり
水鳥の ゆくもかへるも 跡たえて されとも 道はわすれさりけり
(2006年 3月 1日)