「構造」 という概念が、いままで、私の心を占めてきた。対象は、構造化が 終了した時点で、論理的な一貫性・整合性を完成するが、同時に、構造化すなわち 一定の観点から固定化する作業には、作者を罠に陥らせる危険を孕んでいる。 完成とは、「誕生は死である」 という、神が示す謎辞である。 完成の喜びの背後には、つねに、寂しさ・空しさが漂うが、ひとつの誕生は、 対価として、ひとつの死を強要するからである。作者が罠に陥る のは、この時である。 芳醇な神酒、それこそが、神が われわれに課す試金石である。祭りの背後に 漂う言い知れぬ寂しさを感知した者こそが、収穫に感謝して、神に奉納された刀を 再び手にするのである。覚醒していなければならない。 芳醇な神酒に酔い痴れた手が、二度と刀を握ることはない。そして、酔い潰れた有能な 作者を、私は幾人も観てきた。 (2006年 4月 8日)
芳醇な神酒、それこそが、神が われわれに課す試金石である。祭りの背後に 漂う言い知れぬ寂しさを感知した者こそが、収穫に感謝して、神に奉納された刀を 再び手にするのである。覚醒していなければならない。 芳醇な神酒に酔い痴れた手が、二度と刀を握ることはない。そして、酔い潰れた有能な 作者を、私は幾人も観てきた。
(2006年 4月 8日)