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Reality only reveals itself when it is illuminated by a ray of poetry.

 



 昼、寒い風の中で雀を手にとつて愛してゐた子供が、
 夜になつて、急に死んだ。

 次の朝は霜が降つた。
 その子の兄が電報打ちに行つた。

 夜になつても、母親は泣いた。
 父親は、遠洋航海してゐた。

 雀はどうなつたか、誰も知らなかつた。
 北風は往還 (おうかん) を白くしてゐた。

 つるべの音が偶々 (たまたま) した時、
 父親からの、返電が来た。

 毎日々々霜が降つた。
 遠洋航海からはまだ帰れまい。

 その後母親がどうしてゐるか・・・・・・
 電報打つた兄は、今日学校で叱られた。

         (中原中也、「在りし日の歌」 のなかから 「冬の日の記憶」)


 
 (2006年12月 1日)


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