良い仕事ができるかどうかは、良い着想が出るかどうか次第である。
でも、焦ってはいけない。混沌とした渦が次第に形を作って熟するのを待つ悠長さ
もなければならない。発想というのは、喩えれば、発酵に似ている。或る時期には、
知識を詰め込めるだけ詰め込んで、集中して考える。そして、しばらく、対象から離れる。
そうすれば、ふいに、着想が弾き出る。およそ無理があってはならない。夢心地
の状態が一番である。その状態を ギットン 氏は 「怪物の誕生」 と言った。
自分で考え、秩序立った論理を追えば--独自の着想があれば、なお、良いが
--、物怖じすることはない。それが、仕事の自信になる。
時間をかけて、じっくり考え、自信のあることだけを語る。形を得ないで、
ぼんやりしているうちは、しゃべってはいけない。精神の仕事では、促成栽培
などはない。
(2006年12月 8日)