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 私は エンジニア なので、「技術」 を対象にして語る傾向があるようです。そして、いっぽうで、具体的な 「技術」 を提示できない (文芸的な、あまりに文芸的な) 語りぐさを嫌っているようです。というのは、「技術」 は、多くの人たちのあいだで、やりとりできても、人生観などは口さきのみでも語ることができるから。

 だから、「技術」 を対象にして、仕事の領域では、「反 コンピュータ 的断章」 を綴り、「学習のやりかた」 を対象にして 「佐藤正美の問わず語り」 を連載してきました。若い世代の人たちが 「学習のやりかた」 を習得する際、それらの断章集が具体的に役立つことを狙って私は綴ってきました。

 「技術」 というのは、(その底辺として、いかなる思想があっても、) 技術のみとして使うことができる、という性質が特徴です。

 私は、「技術を作る」 こと──たとえば、T字形 ER手法を作りましたが、それを 公 (おおやけ) にしてからも、つねに改善すること──を仕事にしている エンジニア です。そういう仕事をしていれば、技術のなかに自らの考えかたを ほとんど注ぎ込んで、日々の営みのなかで、どこまでが仕事であって、どこまでが仕事を離れた状態なのかという境界線が曖昧です。1日のほとんどを 「技術を作る」 ことばかり考えています。仕事のために読んだ文献から得た着想のほかにも、音楽を聴いていて感応した想いが仕事のなかに入ってきているかもしれない。

 「技術」 を作る周辺で、どういうことを考えてきたのか という点を 「反 文芸的断章」 のなかで綴ってみたい、と思います。

 しかし、舞台うらの準備などは、公にする類 (たぐい) の情報ではないと 私は思っています。したがって、「反 文芸的断章」 のなかに綴られている文は、あるがままに舞台うらを露わにした文ではなくて、公に読まれることを意識して整えた文であることを ご了承ください。


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