2005年 6月 1日 |
基準編-5 「T字形 ER図」 の表現形式 |
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2010年 5月 1日 補遺 |
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この記法 (Tの字) は、恩師 エリック・ヴェスリ (Eric G. Vesely) が指導してくれた 「コッド 正規形を作る ワークシート」 を、データ 仕訳帳として、応用した。「コッド 正規形を作る ワークシート」 は、以下のような フォーマット である。 ┌───────────────────┐ │ 第2正規化 │ ├────────┬─┬────────┤ │従業員番号 │y│従業員名称 │ │ │y│部門コード │ │ │n│給与 │ │ │ │ │ │ │ │ │ └────────┴─┴────────┘ (参考)給与は{部門コード、従業員番号}の組できまる、とする。 この ワークシート では、左側には、primary-key が記述され、右側には、属性が記述される。そして、primary-key に対して、属性の 「関数従属性」 を調べて、関数従属性が成立する属性に対して 「y (yes)」 を記入して、そうでないなら、「n (no)」 を記入する。同じ フォーマット を使って、第 3正規化では、推移従属を調べるために、属性を、1つずつ、左側に記述して、右側には、ほかの属性を記述して、従属性を調べる。 ┌───────────────────┐ │ 第3正規化 │ ├────────┬─┬────────┤ │予約日 │n│申込者氏名 │ │ │n│申込者住所 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ └────────┴─┴────────┘ ┌───────────────────┐ │ 第3正規化 │ ├────────┬─┬────────┤ │申込者氏名 │n│予約日 │ │ │y│申込者住所 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ └────────┴─┴────────┘
これらの
フォーマット が、「T字形」 に似ていることは、一目瞭然でしょう
(笑)。 T字形 ER手法では、「一意性」 を実現するための キー 概念を使っていない。T字形 ER手法では、まず、認知番号を使って、実体を認知して、その実体に帰属する性質を記述する、というふうに、「『或る性質が、或る個体に帰属する』 というふうに考える理由は、その個体が、どのような事態のなかで存在しても、その性質が 『真』 となる、ということなのではないか」 という考えかたを根底にしていて、まず、事実的な 「F-真」 を実現するように、entity を記述する。 そのような記述を起点にすれば、コード 体系の管理番号を使っているので、(認知番号が、かならずしも、一意の値を実現している訳ではないので、一意性は、「キーの定義表」 を使って調べることになるが、) 区分 コード が、はたして、個体としての 「周延的性質」 を実現しているのかどうか、という点を検証しなければならないし、認知番号が付与されていないが、個体として認知できる対象──現象的には、推移従属性となるが──が混入しているのかどうか、という点を検証しなければならないし、多義 (多値) も検証しなければならない。そのために、それらの手続きが、TM および TM’として整えられた。 コッド 正規化の ワークシート が、T字形 ER手法の出所であるという点を鑑みれば、T字形 ER手法は、かって、キー 概念を、つよく意識していた。しかし、コード 体系のなかに記述されている管理番号を、「同意された」 認知番号として使うようになって、次第に、(関数従属性を守る) キー 概念を外すようになって、「事実」 との指示関係を重視して、「F-真」 概念を使って、entity を記述するようになった。 T字形では、左側に、認知番号を記載したら──TM の定義では、認知番号を付与しなければ entity として認知されないので──、右側に、認知番号に対して、個体を記述する性質を集める。すなわち、「情報 (画面など、事業過程に関与している人たちが伝達している情報)」 のなかで使われている語彙を 「観察述語」 として、現実的事態を指示できるように個体を構成する。言い換えれば、個体として、「F-真」 を示す性質を記述する。この状態が、コッド 正規形の第2正規形である。そして、個体 (entity) が、個体のみを指示できるように、以下の諸点を配慮しながら、「周延的性質」 の純度を高める正規化が施される。 (1)
個体が交叉していないかどうか (区分 コード
が妥当かどうか)、という点を調べる。 それらの検証から外れる、やっかいな現象が、いわゆる「HDR-DTL
(one-header-many-details)」
構成である。 T字形
ER手法は、コッド
正規形を起点にしている。 (1)
Null
を除去する。 そして、「コッド
正規化の ワークシート」 を原型にしていたT字形は、「意味論的」
な性質を、次第に、強くしてきた。 コッド 関係 モデル は、(意味論を前提にした) 構文論的体系であると思われるが、TM および TM’は──「関係」 に関して、「4つの文法」 を提示しているので、構文論的性質を帯びているが──、意味論 (論理的意味論) に近い、と思う。 □
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[ 補遺 ] (2010年 5月 1日) 本 エッセー の最終文は、misleading ですね。というのは、意味論の観点では、コッド 関係 モデル も 「論理的意味論」 だから。たぶん、モデル の生成規則として ロジック を使えば、「論理的意味論」 になるでしょう。 形式的構造は、個体 (項) と関係 (関数) を使って記述されます。コッド 関係 モデル と TM とのあいだの相違点を 「個体」 および 「関係」 において、以下に対比します。 (1) 個体の認知 コッド 関係 モデル では、「直積集合」 を使って 「タプル (tuple)」 を生成して、その タプル が 「個体」 を指示する──「F-真」 を実現する──のですが、TM では、項 (語彙) を 「合意された認知」 として捉えて、語彙のなかにある 「管理番号」 を使って、まず、「個体」 を生成する、という点が相違点になっています。 (2) 関係文法 コッド 正規形 では、それぞれの正規形は 「包摂関係」 として捉えられていますが、TM では、「関数」 (全順序の関数と半順序の関数) を使います。 この構造を セット 理論と第一階 ロジック で説明するのは、難しい。もし、セット 理論と第一階の術語で説明するのであれば、「合成関数」 として説明するしかないでしょうね。いっぽう、クラス 概念を使って、「ファンクター (関数の クラス)」 として説明すれば簡単でしょう。TM は、セット 概念を基底にしながらも、クラス 概念を導入しました。 |
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