2006年 1月 1日 |
基準編-20 例題 ( ビジネス 解析──その 1) |
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2010年12月 1日 補遺 |
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本編を綴った理由は、ER図が単なる 「お絵かき」 ではなくて、「ER図を観れば、ビジネス を逆解析できる」 ことを示すためであって、「ER図を、いかにして読むか」 という点を具体的に・詳細に示す意図はなかった。もし、「ER図を、いかにして読むか」 という点を主眼にするのであれば、具体的な例を、もっと数多く示さなければならない。 本編の主眼は、あくまで、「構造が違えば、『意味』
が違う」 ことを示す点にあった。 「戦略的な」
データベース 構築というのは、resource
群の
「造化の妙」 にある。そうでなければ、
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[ 補遺 ] (2010年12月 1日) T字形 ER手法は、「データベース 設計論──T字形 ER (関係 モデル と オブジェクト 指向の統合をめざして)」 (2005年出版) で──「赤本」 と愛称されている著作ですが──、「TM」 という名称に変更しました。そのために、その後、私は 「TM (T字形 ER手法の改良版)」 というふうに綴ることが多い。 T字形 ER手法は、その呼称が示すように、「ER」 という語を使っているので、「黒本」 のなかで、「ER 図」 という言いかたを随所に使っていますが、(「赤本」 以後、) TM は、「ER 図」 ではなくて、「有向 グラフ」 であるという言いかたに改めています。というのは、T字形 ER手法は、そもそも、P. チェン 流の ER モデル ではないのですが──チェン ER モデル を 「モデル」 ということに私は反対なので──、「黒本」 のなかで 「ER」 という語を多用したがために、世間では、T字形 ER手法が まるで チェン ER モデル の変形のように思い違いされてしまったようです。T字形 ER手法の源流は、コッド 関係 モデル です。 では、私は どうして ER という言いかたを使ったのかと言えば、コッド 関係 モデル の中核である 「関係 モデル」 すなわち 「関数」 に対して、「(項の) 並び」 を論点して、entity を 「event」 と 「resource」 の 2つの クラス に類別したので──関係の対称性・非対称性を強く意識して、「関数 (直積集合)」 を そのまま適用することを嫌ったので──「関数」 という ことば を使わないようにしたがためです。実際、当時、私は、ユーザ に対して、「T字形 ER手法のなかで 『関数』 という語を使わないでください」 とさえ言っていました。 TM は、「論考」 「赤本」 そして 「いざない」 という一連の著作のなかで、数学 (数学基礎論)・言語哲学の観点から検討されて──「関係の対称性・非対称性」 は 「並び (半順序・全順序)」 の観点から検討されて──、TM の 「関係の文法」を (1点を除いて、) 「関数」 として扱ってもいいと判断できたので、最近では、TM の説明のなかで、寧ろ 「関数」 という語を多用しています。そして、TM の文法で構成された図を 「有向 グラフ」 であるというふうに言うようになっています。だから、今では、「ER 図」 と言われることを嫌っています。 「ER 図」 という言いかたをしないで 「有向 グラフ」 という言いかたに変えた最大の理由は、「箱 (entity) ではなくて、線 (relation) を観よ」 ということを指導するためです。「ER 図」 を好む人たちは、「箱 (entity)」 に対して注意を注ぐようですが、「箱」 が 「意味」 を持つのは、文脈──すなわち、「線」──のなかであって、文脈のなかの ポジション (座標) が注視されなければならない。そして、「線」 を読むということこそが 「事業を読む」 ということです。 「黒本」 の本編 (基準編-20) では、いまだ、「ER 図」 のように、「箱」 に対して重きを置いて、「線」 は 「箱」 のあいだで二次的に構成されるような説明の しかた になっています。本来は、逆に考えるべきです。すなわち、「線」 のなかで 「箱」 が置かれていて、それらの 「線」 を読むことが 「事業を読む」 ことだ、と。幸い、本編でも、「構造」 を重視しているので、「並び」 を論点にしない ER図に較べれば マシ でしょうね。 |
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