日本史 (昭和史) >> 目次 (テーマごと)


 今回は、昭和史に関する書物を紹介する。
 小生が歴史 (日本史) に興味を抱いた理由は、「自らが生まれ育った時代を知りたい」 という点にあった。

 小生は昭和 28年生まれなので、第二次世界大戦の終わり (昭和 20年) から 8年後に誕生している。そして、大学に入学したのが昭和 47年頃である。小生が大学生の頃は 「学生運動」 の末期に遭遇している (ただし、小生は、いわゆる 「ノンポリ」 だったが)。

 昭和 20年代に生まれた人々の 「小学校の思い出」 は、校舎が木造だったし、給食では 「脱脂粉乳」 や 「鯨肉の竜田揚げ」 や 「砂糖をまぶして油で揚げた コッペパン」 である。弁当のときには、石炭 ストーブ の上で弁当を温めていたので、授業の 3時間目あたりには、温められた沢庵の臭いが教室中に漂っていた思い出がある。

 小生は辺鄙な (半農半漁の) 村で生まれ育った。「写真機」 は村ではめずらしい品物だったので、小生の幼年時代の写真は、ほとんど、ない。それが、今では、インターネット を使って動画を送ることができる時代である。小生は パソコン を 6台と電話回線を 4本 使っている。(動画編集の定番である) premiere を使って、小生の愚息たちを撮影した 「動画 (ビデオ映像)」 を編集している。「隔世の感」 である。

 自らの生まれ育った時代を知りたかったので、歴史研究は、当初、昭和 20年 (終戦) から昭和 50年頃までを対象としていた。それが、次第に広がっていって、「江戸・明治・大正・昭和の世相史」 を研究対象にするようになった。
 ただ、昭和史は膨大な史料 (文献や写真や動画) が遺されていて、おそらく、後世の歴史家は夥しい資料を前にして溜息がでるのではないでしょうか。

 われわれ 歴史学の シロート が昭和史を振り返るために取り組みやすい材料は新聞記事でしょう。そして、新聞記事を読みながら、ニュース の映像 (写真と動画) を観ればよい。新聞記事や映像も膨大な量になるので、昭和史の全体を見て取るには 「縮刷版」 を使うことになるでしょうね。

 今回は 「昭和史」 に関する書物を紹介しますが、いわゆる 「100年物」 (明治元年から起算して 100年を対象とする歴史) は、後日、改めて紹介します。

 なお、文中、(★)はお薦めの意味です。



[ 読みかた ] (2006年10月 1日)

 今回は、昭和史に対する思いについて 「前置き」 が長いので、取り立てて、それぞれの文献に関する 「解説」 はいらないでしょう (笑)。

 さて、「前置き」 のなかで、「われわれ 歴史学の シロート が昭和史を振り返るために取り組みやすい材料は新聞記事でしょう」 というふうに綴りました。しかし、新聞記事が 「事実を正確に報道しているかどうか」 という点に関して、私は、新聞を まいにち 読んでいて、少なからぬ疑義を抱いています。

 「5W 1H」 (いつ when、どこで where、だれが who、なにを what、どういうわけで why、どのように how) は、報道文の原則であると云われています。ただ、「どういうわけで」 という 「理由」 を新聞が報道することは--あるいは、記者の 「意見」 を挿入することは--、その 「理由」 が きちんと検証されていないならば、新聞報道の職責を超えた所作--いわゆる 「yellow journalism」--だと私は思います。たとえ、文責として、記者の氏名が明記されているとしても。
 そういう 「意見」 は、新聞社の意見であれば 「社説」 として綴ればよいし、記者の推測であれば、「解説」 のなかで綴ればいいのであって、報道文のなかに混入されることを私は嫌悪しています。

 新聞を読む際、「見出し」 を観て、関心のある記事だけ読む人たちが多いでしょう (私も、そうです)。「見出し」 は、読者をひきつけるように、記事をまとめています。そして、「見出し」 は、できごとの 「重要度」 を表すように、大きさ (font-size) を組んでいるようですね。この点に関して、亀井勝一郎氏は、以下のような アフォリズム を遺しています。

    我々は新聞の活字の大小によって左右されながら生きている。どんな大事件でも、小さな活字で報道される
    と小事件と思い、どんな小事件でも、大きな活字で報道されると大事件と思い込む。何も報道されなければ
    事件は存在しないことになる。現代は活字の神話の時代である。

 私は、新聞を読むとき、記事を 「年表」 ふうに読むようにしています。すなわち、(「いつ when」 と 「どこで where」 を除けば、) 以下の 2点しか 「情報」 として入手しないことにしています。

  (1) だれが なにをした。
  (2) なにが どうなった。

 そして、もし、その できごと が起こった理由を知りたいのであれば、あるいは、その できごと に関して みずからの 「意見」 を述べたいのであれば、私は、その できごと を起点にして、関連事項を丁寧に調べるようにしています。ただし、その できごと の 「理由」 が過去の できごと に遡及されるのではなくて、ときとして、将来の 「目的」 として準備されることもあるので、できごと のあいだの関係を読み取るのは、なかなか、むずかしい。たとえば、「法科大学院が数多く設立された」 報道を目にしたとき、私は、理由がわからなかった。しかし、そののちに、会社法が公にされて、私は、初めて、その 「理由」 を理解できました。

 ちなみに、新聞の文章は、句読点の打ちかたが正確ではないし、接続助詞の 「が」 を使って文を続ける文体や中止法が多い点に注意して下さい。

 報道文・報道写真に関する注意点は、351ページ (「マスコミ 報道」) に記載した文献を参照して下さい。

 





 ▼ 新聞記事

 ● 朝日新聞に見る日本の歩み (昭和元年〜昭和 47年、20冊)、朝日新聞社(★)

 ● 天声人語にみる戦後 50年 (上・下)、朝日新聞論説委員室 編、朝日文庫

 ● 声 (1〜 6、昭和 20年〜50年)、朝日新聞社 編、朝日文庫

 ● 読売新聞にみる昭和の 40年、読売新聞社

 ● 読売新聞号外に見る戦後 50年、読売新聞社

 ● 号外 昭和史、木下宗一 著、磯部書房

 


 ▼ 雑誌記事

 ● 戦後 50年 日本人の発言 (上・下)、文藝春秋 編、文藝春秋

 ● 「世界」 主要論文選 1946-1995、岩波書店

 


 ▼ 通史の概説書

 ● 昭和史全記録(1926-1989)、毎日新聞社(★)

 ● 昭和世相史 (1945-1970)、岩崎爾郎・加藤秀俊 共著、社会思想社

 ● 昭和史、遠山茂樹・今井清一・藤原 彰 著、岩波新書

 ● データベース 昭和史、岩波書店
  [ EBXA版 ]

 ● 昭和の精神史 (1945-1970)、竹山道雄 著、新潮文庫

 ● 10大ニュースに見る戦後 50年、読売新聞世論調査部 編、読売新聞社(★)

 ● 昭和聞き語り、毎日新聞西部本社 編、葦書房

 ● 昭和経済史 (1945-1970)、有沢広巳 監修、日本経済新聞社

 ● 家計簿からみた近代日本生活史、中村隆英 編、東京大学出版会

 ● 図説戦後史、正村公宏 著、ちくまライブラリー7

 ● 犯罪の昭和史 (1・2・3)、作品社編集部 編、作品社

 ● 平成の データファイル (1989-1998)、加藤迪男 編、東京堂出版(★)

 


 ▼ 写真集

 ● 写真でみる戦後日本--10年の歩みを記録する、朝日新聞社

 ● アルバム 戦後 15年史、朝日新聞社

 ● 戦後 20年写真集、共同通信社

 ● 写真集 子どもたち 女たち の昭和史 (2冊セット)、大月書店

 ● 報道写真にみる昭和の 40年、読売新聞社

 ● ニュースカメラ の見た激動の昭和、「日本ニュース」 記録委員会 編、日本放送出版協会

 ● 目で見る昭和全史、読売新聞社

 ● 眼で見る昭和 (上・下、昭和元年〜47年)、朝日新聞社(★)

 ● 毎日 ムック 戦後 50年 (新版)、毎日新聞社

 


 ▼ ニュース映像 (動画)

 ● フィルム に残された あのころの にっぽん (全 6巻)、文藝春秋
  [ VHS 版 ](★)

 


 ▼ その他

 ● 現代漫画 14 漫画戦後史 (政治篇)、筑摩書房

 ● 現代漫画 15 漫画戦後史 (社会風俗篇)、筑摩書房

 




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