2019年 7月15日 「4.2 階 (集合の集合)」 を読む >> 目次に もどる


 モノ の集まりを考えるとき、「メンバー と、その集合」 を単位にすることは 前回 述べました。前回は、個体を メンバー にして、その集合を考えました [ 式で書けば、f (x) ]。さらに、集合を メンバー にして、「集合の集合」 (述語の述語、あるいは関数の関数) を考えることができます [ 式で書けば、F (f) ]。そして さらに、「集合の集合」 を メンバー にして上位の集合を考えることができます [ μ (F) ]。個体の集合を作る述語 (あるいは、性質) を 「第一階の述語」 と云い、集合を メンバー した 「集合の集合」 を作る述語を 「第二階の述語」 と云い、第三階・第四階・・・と上位になるにつれて階が上がります。第二階以上を まとめて 「高階」 と云うこともあります。具体例については 「いざない」 を読んでください (pp. 93-94)。

 P (s) とか f (x) について、P や f を今まで 「述語」 とか 「性質」 と云ってきましたが、数学では (「述語」 とか 「性質」 というのを嫌っていて) f (x) のことを 「クラス」 と云います。今後は、f (x) のことを 「クラス」 と云うことにします。クラス は、BG の公理系で使われる概念です。BG の公理系とは、ベルナイス と ゲーデル が整えた公理系です──ふたりの名前の頭文字を それぞれ 使って、BG の公理系と一般に云われています。

 事業分析の モデル 技術として セット と クラス は実地に使う時に論点となるので、ここで先ず セット と クラス を 「数学的」 に整理しておきます (「2.3 ZF の公理系」 を読み返してください)。

 1. セット とは、ZF の公理系で使われ、{ x ∈ a | f (x) } の分出公理を前提にしている。

 2. クラス とは、BG の公理系で使われ、f (x) のことを云う。

 3. セット で証明できる論理式は クラス で証明でき、クラス で証明できる論理式は セット で証明できる。

 
 ちなみに、TM (T字形 ER法の改良版) は セット も クラス も使っていて、それらの相互の読み替えを 随時 やっています。T字形 ER法は 当初 E.F. Codd 氏の セット 理論を根柢に置いて作られたので、TM も セット を主に使っています。ただ、T字形 ER法の弱点だった 「one-header-many-details」 構造 [ 関係 (関数) が そのまま モノ (一者) になる構造 ] を合理的に・単純に さばくために、ファンクター (関数の クラス) を導入しました。そして、事業を分析するために意味論を強く考慮して、事業構造と一致した モデル 構成を作るようにしました。そのために、TM では、「セット で作って、クラス で整える」 という使いかたを指導しています (後述)。 □

 




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